西伊豆・大瀬崎「春濁り」のダイビング~真っ暗闇だが面白い
春濁りまっ盛り 透明度1~5m
西伊豆・大瀬崎「ダイビングハウスマンボウ」さんのガイドで、外海「柵下(さくした)」、先端(せんたん)、湾内(わんない)の三大ポイントを潜ってきました。
ところが、3週間ほど前から発生し始めた「春濁り」。
先週が山だったようですが、今週も物凄いニゴニゴ状態。
透視度は悪い場所で約1m。良い場所でも5mしか見えません。
上の動画像は、2009年3月21日に撮影した、西伊豆・大瀬崎の外海「柵下」(さくした)ポイントの様子です。数日前までは、もっと酷い濁り方だったそうです。
春濁りとは?
「春濁り」とは、初春(3月~4月)頃に突然、海域に細かい浮遊物が流れ始め、その後、数日で大量の植物性プランクトンが広範囲に突然発生することによって、水中の透視度が、1m前後まで悪化する現象の事です。ダイビングの世界で使用されている言葉なので、正式には何と言うのか私には知識がありません。
さて、この春濁りは、どうして発生するのでしょうか?
いろいろ調べてはみるのですが、個人的には以下のような理由なのではないかと思っています。
春濁りの発生原因として考えられること
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春一番の到来とともに、西高東低の冬型の気圧配置から、徐々に東高西低の配置へと変化し、その事によって南方からの温かい海流が沿岸部に吹き寄せられることになる。
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吹き寄せられた暖かい海流は、表層に滞留していた冷水層を表層から深層へと押しやることになる。
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通常、日本沿岸部の中層より深い深海層の水温は、10℃~4℃程度と考えた場合、表層から落ちてきた冷水層と混じり合い、中層部の水温が上昇する。
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水温が上昇した海水は、深海の滞留物、沈殿物を巻き上げながら表層へと上昇していくことになる。
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こうして、中層から深層の浮遊物、沈殿物など栄養素が多く溶け込んだ海水が表層へと浮かび上がってくることなり、春濁りの初期状態となる。
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さらに、春先の風雨により、陸上からの栄養素が大量に海中へ流出し、沿岸部は深海からの栄養素と、陸上からの栄養素で富栄養状態となる。
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さらに、桜の開花季節直前になると、一気に日照時間が増加し、表層の水温がさらに上昇。
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そして大量の植物性プランクトンが発生することになる。
・・と、あてずっぽうですが、春濁りの発生原因について仮説を考えてみました。
事実、2週間前(3月7日)の西伊豆・大瀬崎の湾内ポイントの水温は、
- 表層・・・13度
- 25m付近・・・14度
という状態でした。
しかし、今日、3月21日の同一ポイントでは、
- 表層・・・16度 (3度上昇)
- 25m付近・・・11度 (3度低下)
という表水温と低水温の逆転現象が発生しています。
この逆転現象こそが、表層と低層の海水が逆転してしまう現象を起こし、急激な富栄養化の原因となります。その富栄養状態の海に日光が長時間差し込むことによって、一気に「春濁り」となるのではないでしょうか。
ちなみに、この水温の逆転現象は、湖や沼などの止水では、最も起こりやすく「Spring Turn Over スプリング・ターン・オーバー」と呼ばれています。湖などで、冬の間、とても澄みきっていたのに、突然、真茶色に濁ってしまう時期があり、それが、「Spring Turn Over スプリング・ターン・オーバー」です。
春濁りの海で踊るタコ
ダンスするタコ発見!カワユスですねぇ!
面白いと思いませんか?ライトを当てるとたくさんの浮遊物が写ってますよね。これが、春濁り・・・植物性プランクトンです。
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