メバルの求愛行動 Sebastes ventricosus
伊豆のダイビングでは普通に観察する事ができるメバル(眼張、鮴)。実は、2008年8月の日本魚類学会の機関誌で、これまで同じ種とされてきた「メバル」が、DNA解析によって3種に分類できることが発表されました。 メバルという名前の魚は正式には図鑑から消え、以下の3種類で分類されることになります。
メバルの種類
- クロメバル(Sebastes ventricosus)
- アカメバル(Sebastes inermis)
- シロメバル(Sebastes cheni)
我々が良く目にするのは、クロメバルという種類に当たるようで、アカメバルはさらに深い海域に生息する為に目にする事は稀だと思えます。但し、シロメバルはクロメバル同様に浅海の岩礁帯に生息する為、概観の色で見分けるのが非常に難しいかと思われます。アカメバルは体の色が赤っぽいのではっきりと他の2種と区別が付きますが、クロメバルは黒または青黒色、シロメバルは白っぽいものが多く腹びれが長いなどの特徴で判別するのですが、難しいですね。詳細には、胸びれを支える小骨のような「軟条」の数で判別し、「アカ」は15本、「クロ」は16本、「シロ」は17本と異なっているのだそうです。
冬の大瀬崎の湾内で良く目にするのが、クロメバル(Sebastes ventricosus)の求愛行動です。湾内のゴロタ場や漁礁付近にダイビングをした際には、是非、クロメバルのカップルを探してみて下さい。面白い行動を観察する事ができます。
雄のクロメバルが雌に近づいてディスプレイ
この写真の左側(白っぽく見える)が雄のクロメバルです。右側(赤っぽく見える)が雌のクロメバルです。
雄は、雌の鼻先に近づいてしきりに求愛行動を行います。この時、雄は自分の肛門部分を雌の鼻先にくっつけるような仕草をします。えええっ~~~!?て感じですが、これだけで驚いてはいけません。
雌の鼻先で放尿する雄
雄のクロメバルは、雌の鼻先に自分の尻をなすりつけ、さらに放尿する事が知られています。これが、彼ら特有のディスプレイ(動物が行う求愛行動)なのです。すごいですね・・・びっくり仰天。
この後、求愛行動に成功すると、カップルが誕生し、交尾を行います。この日は残念ながら交尾シーンは目撃できませんでした。メバルの仲間の交尾は、カサゴなどと同じように雄が雌に身体を巻きつけるようにして行い、雌の体内で受精が行われます。受精した卵は約一ヵ月後に雌の体内から稚魚としてハッチアウトします。驚いた事に雄は雌との交尾後、すぐに別のメスを探してその場を離れてしまうそうのだそうです。ディスプレイもびっくりですが、その後の行動もびっくりですね。
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