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2010年1月10日

Grant Sculpin クチバシカジカの抱卵

 

 

宮城県南三陸町志津川。

牡蠣の養殖で有名な志津川湾でクチバシカジカの抱卵がはじまりました。今年は、ダイビングポイント内で14箇所も抱卵している固体が発見されており、近年稀に見る当たり年と言われています。透明度も非常にいいという前評判だったのですが、なんと、志津川行きの数日前から強い低気圧が襲い、猛烈な風とうねり。気温は5度程度あるものの、体感気温はずっと低く、非常に寒い日となってしまいました。

海の方はもちろん強いうねりが湾内にも入り込み、透視度はなんと2m。まったく見えません。2日間の日程だったのですが、1日目は海に入るのを断念し、2日目に全てをかけて海況の回復を待つこととしました。

2日目は風は若干おさまりかけてきたものの、濁りは一向におさまりません。本来であれば、ボートが係留される梵天から10分ほど泳いだ場所にある「北の根」というポイントに向かう予定だったのですが、2mしか視界がない状況では、長距離の移動は危険と判断し、近場の抱卵場所に向かうことにしました。

 

 Grant Sculpin クチバシカジカ

 

 

 

Grant Sculpin クチバシカジカ

 

ポイント周辺では、産卵を終えた雌のクチバシカジカをたくさん見つけることができました。クチバシカジカは、雄が抱卵を行い、雌は産卵後はフリーになります。前回、志津川に来たときには、まだお腹の中に卵を持った雌を見かけましたが、じっと動かないで産卵時期を待つようなしぐさをしておりました。今回見た雌は、産卵後で身が軽くなったのでしょうか、結構、よく移動します。

 

志津川のダイビングサービスといえば、このブログでも何度もご紹介している「グラントスカルピン」さんです。今回は、オーナーの佐藤長明氏、奥様の凡子さんのお二人にガイドしていただけるという、超特別待遇でした。水温7度、透視度2mという劣悪な状況でありながらも、見事に抱卵中のクチバシカジカを見つけてくれました。ポイントを知り尽くした佐藤ご夫妻のガイディングは流石です。

 

しかし、クチバシカジカという魚。実は垂直の岩盤、もしくはオーバーハングした岩盤の下側にある窪みに巣を設けます。発見したクチバシカジカも、水底から1mほどの高さにせり出した岩盤の下側に巣を作っておりました。撮影するためには、水底に仰向けになり、カメラのハウジングを持ちながら、逆フィンピボット・・・。肺に空気を入れて上半身がやや浮き上がるようにし、ウネリをかわしながらピンを合わせます。かなり大変。

しかも、自分が吐き出したエアーが、クチバシカジカの巣に当たらないように工夫する必要もあります。どれくらいうねっていたか・・・別の場所で撮影したクチバシカジカの動画像をご覧ください。あまりの濁りとウネリで、ピントが合っているのか、合っていないのか判断がつかず、ボケボケの映像になってしまいましたが、なんとか写っていました。

 

 

 

 

 

ようやく撮影できたのがこの写真です。ピンク色に輝く卵がとても美しいです。クチバシカジカの卵は、約70日後に孵化するのだそうです。今年は3月の第一週がその週に当たりそうです。楽しみですね。

 

 

Grant Sculpin クチバシカジカの抱卵 

 

 

 

 

 

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