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2010年2月24日

Cuthona pupillae コマユミノウミウシ

Cuthona pupillae コマユミノウミウシ

 

 

Cuthona pupillae コマユミノウミウシ

 

 

明鐘岬でのダイビングで観察したコマユミノウミウシです。

ぷっくりとしたミノが特徴の小型のウミウシで、結構頻繁に見つけることができます。

千葉大学海洋バイオシステム研究センターの論文の中に、このコマユミノウミウシの発生様式についての面白い記事を見つけました。

 

『Anetai, Y., Hirano, Y. M. & Hirano, Y. J.: Poecilogony or cryptic species -- the aeolid nudibranch Cuthona pupillae?』 より抜粋

コマユミノウミウシの発生様式には、大卵(卵径約150μm)で直接発生を行うものと、小卵(卵径約98μm)でプランクトン栄養型幼生を経る間接発生をするものの2種類が観察されている。ところが、これらの異なる発生様式をもつものが、同一種であるのか、または異なる二つの近縁種であるのかは、明らかにされていなかったのですが、本研究では、この異なる発生様式を持つ個体同士を交雑させ、その繁殖可能性を調べることによって、これらの個体が同一種のものであるか否かを検討した結果、正常な発生を示すF1が得られた。また、そのF1同士を交配させたところ、F1も繁殖可能性を持つことが明らかとなった。これらの実験によって得られたF2の発生様式は、小卵(卵径約111μm)で直接発生を行うという注目すべきものであった。

 

要するに、コマユミノウミウシの繁殖には2通りあって、どちらの方法で繁殖するものも同一のコマユミノウミウシであると、しかも、F2ではベリジャー幼生の様式を経ることなく、小卵から直接発生するのだそうです。

いままで、ウミウシはベリジャー幼生として漂いながら、いづれ着底し、成長するものと思ってましたが、直接発生(直達発生:親に似た姿の子つまり幼体が生まれる発生様式)するものもあるのですね。

少し賢くなった気分です。

 

 

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