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2010年10月12日

青森県むつ市「海と森ふれあい体験館 Shell Hall シェルホール」

10月の連休を使って青森県のむつ市にある「海と森ふれあい体験館 Shell Hall」に行ってきました。

この企画は「海と森ふれあい体験館 Shell Hall シェルホール」館長を務められている五十嵐先生のご招待から、千葉県保田のパロパロアクアティックさんが調査研究のためのツアーを企画したものです。

なぜ、青森県と千葉なのか・・・?

それは10年以上前、五十嵐先生が東京湾のサンゴ礁について研究されているとき、パロパロアクアティックのオーナーである魚地司郎さんが、水中での観察、研究の協力をされていたとの事で、その時からの信頼関係で、今回の調査ダイビングが実現したのでした。

もちろん、むつ市川内町のこのビーチは、一般に公開されているダイビングポイントではありません。

今回の調査研究のために特別に許可を頂き、このシェルホールを中心とする周辺のビーチエリアでの、海洋生物の調査を行う目的で潜水を行いました。

 

青森県むつ市「海と森ふれあい体験館 Shell Hall シェルホール」

 

素晴らしい施設ですよね。

青森県むつ市「海と森ふれあい体験館 Shell Hall シェルホール」は川内町の象徴であるヒバをふんだんに使用したモダンな設計で建築され、海と森にはぐくむ生物の研究、自然と人々とのふれあいや文化を展示するためにNPO法人として運営されています。

 

青森県むつ市「海と森ふれあい体験館 Shell Hall シェルホール」

 

Shell Hallという名前は、川内町在住の山口和雄さんによる貴重な貝類標本が展示されえていることから名づけられているようです。陸奥湾で採取された250種の標本の他、同じく川内町で発掘された貝の化石、世界各国の美しい貝など、大変多くの標本、生体が展示、飼育されています。

 

館長の五十嵐健志(いがらしたけし)さんは、長年、ムツサンゴをはじめとして多くの珊瑚の研究をされてきた方で、今回の調査研究に際して、陸奥湾の特異性や生物の多様性についていろいろと興味深いお話を聞かせてくださいました。

 

今回の調査研究を行ったエリアは、「海と森ふれあい体験館 Shell Hall シェルホール」のすぐ目の前、「かわうち マリンビーチ」という人工ビーチと周辺のエリアが対象です。特徴的なのは、そのエリアも遠浅で、300mも沖合に出ても水深が5~6mまでしかならないという、とても穏やかなビーチでした。

 

かわうちマリンビーチ

 

今回の調査ダイビングでは、普段、東京湾明鐘でウミウシを中心に探索を行っているマニアックなダイバーばかり8名がチームとなっており、水中撮影を専門とするメンバー、ウミウシの探索を専門とするメンバー、ウミウシの同定と標本化のための固定作業を行うメンバーと、それぞれの得意分野を期待されての選抜チームです。

何台もカメラを持ち込むスタッフ、いくつもの図鑑を持ちこむスタッフ、採集用の装備、固定用の薬品や器具の準備、ダイビング器材の準備など、何カ月も時間をかけての調査活動でした。現地にはダイビングサービスはありませんので、使用するダイビング用タンクは全て千葉県より運搬したものです。

 

生物の宝庫「アマモの森」

水深2~5mの無減圧潜水ですので、1回のダイビングが1時間30分~2時間。それを2回/日以上行い、徹底的な調査を行います。

ビーチから沖合30mも出ると、そこからは永遠と続くアマモの森です。数種類のアマモが群生しているようですが、その密度は尋常ではなく、海底を探ると、20cm以上もアマモの枯葉が堆積しています。最盛期の初夏にはもっと密度高くアマモが生育しているようです。

 

 

陸奥湾のアマモ

 

 陸奥湾のアマモ

 

アマモの枯葉は海底に堆積し、多くの微小生物を育てる重要な土壌を形成します。食物連鎖の最も重要な底辺をになっているのです。

貝類、ウミウシ、ヒトデやウニなどの幼生、甲殻類や魚類の幼生など、沢山の生物を観察する事が出来、見ていて飽きません。

 

陸奥湾のアマモ

 

陸奥湾のアマモとヒトデの幼生

 

 

アミメハギの幼魚

 

合計5本の調査ダイビングを行いましたが、到底全てを把握することなど難しい事です。

しかも四季折々の環境の中でどのように変化し、生物達がどのように適応していくのか、興味が尽きません。

今回の調査ダイビングで得た経験については、地元ラジオ放送にてスタッフ全員が参加、収録を行い、ご報告をさせていただきました。

できる事なら、今回の調査で得た情報を集計し、海流や水温などのデータと共に、ウミウシの分布やアマモ生育マップなどを作ってみたいものだと思いました。

 

 

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コメント(2)

連休はオツカレサマデシタ^^

定点観測したいですねぇww
手付かずの海ってなかなか無いですから^^

今回の訪問が何らかのカタチになるとうれしいですね^^

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