« キタマクラ Canthigaster rivulata | ホーム | マツカサウオ(松笠魚 Monocentris japonica) »
2011年11月 1日
マトウダイ Zeus faber
大瀬崎の湾内。水深28mで観察したマトウダイです。
実はこのマトウダイを撮影した直後に方向を失ってしまったのでした。
大瀬崎の湾内はすり鉢状になっているといわれますが、実際には、すり鉢の底の部分にあたる海底が広く、湾の中央部に向けて小高い山になっているのだそうです。
そのため、この28mラインから先に行くと、まっ平らになってしまい、どちらが岸の方向だったか分からなくなります。
さらに間違って湾の中央部に向けて進んでしまうと、徐々にせりあがってくるので、そちらが岸の方向だと勘違いしてしまいます。
なのでナチュラルナビゲーションだけではとても危険な場所。
コンパスが頼りです。
しかも行って帰ってくるような直線的なダイビングでしたら、コンパスも180度反対方向に戻ってくれば良いのですが、大抵はぐるぐると散策しますから、その度ごとに角度を計算しておく必要があります。
この時も、このマトウダイが、クロサギを捕食しようとして追跡しているのを発見し、追っかけてしまったのが原因でした。
気が付いたら全く見覚えのない場所。
360度、どちらを見てもマッタイラな砂浜。
水深が深いために太陽光もどちらから指しているのかよくわかりませんでした。
何にも目印がない砂地。
正直申し上げてとても危険です。
セルフダイビングをしている方は経験があるかと思いますが、ふとした瞬間に突然、不安感に襲われ、一気に心拍数が上がり、パニック寸前に追い込まれることがあります。
「おや?ここはどこ?」と疑問に思ったら、直ちに今たどってきたルートを逆行すべきです。
数十秒後には過呼吸状態に追い込まれることがあります。
もう四半世紀もダイビングをしていてもこういうことがあります。
ちなみにあくまで参考までに申し上げますが、パニックになりかけるときには、以下の要因が重なった場合が最も危険です。
ダイビング中、突然パニックに襲われる状況とは?
- 水温が冷たいと感じる
- 目印のない場所や見覚えのない場所にいる
- 特に変わった生物も発見できず数分以上、連続的に泳いでいる
- DECOが気になる
上記のような条件が重なっているときに、「あれ?」と思った瞬間に心拍数が急上昇していきます。
不思議なことに体調がいいとか、悪いとかは関係ないようです。
もちろん体調が悪いのにダイビングをすること自体が論外です。
これもあくまで参考ですが、もし、そうなった場合、私の場合は次のようなことを心がけています。
もしパニックになりかけた時にどうするか?
- レギュレータに手を添えて一回一回の呼吸数を整える(苦しくてレギュレータを外してしまいたい衝動を防ぐため)。
- 数十秒その場にとどまり、血中酸素を高めるために深呼吸を繰り返します。
- 目をつぶり、心を落ち着けます。
- コンパスを確認します。
- 一気に10mよりも浅い場所まで手を使って這い上がります(フィンだけでは、また過呼吸に戻る場合がある)。
- ダイコンを見て安全停止時間を確認します。
初めての場所でのセルフダイビングは絶対にしないこと。
コンパスナビゲーションに不安があるダイバーは絶対にガイドを雇うこと。
無理のないダイビング計画を心がけましょう。
- 観察地: 大瀬崎,湾内
- 学名: Zeus faber
- 標準和名: マトウダイ
- 撮影機材: Canon EOS 5D Mark2
- 使用レンズ: EF100mm F2.8Lマクロ IS USM
- 水中ハウジング: SEA&SEA MDX-PRO 5D Mark II
- 現地サービス: ダイビングハウスマンボウ
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://iforce.sixcore.jp/mt5/mt-tb.cgi/1856
コメントする