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2010年1月23日
Phestilla minor ニホンアワサンゴを食するウミウシ
ニホンアワサンゴ。
千葉県保田海岸 明鐘岬の海にはニホンアワサンゴをはじめとする、多くの種類のソフトコーラルが生息している。
サンゴの天敵といえばオニヒトデを思い出すが、ウミウシの仲間でもサンゴを食する物がいる。
ただ、不思議なのは、ソフトコーラルを食するウミウシは、何種類かあり、それぞれ食するソフトコーラルの種類がはっきりと決まっているということだ。
今回観察した「Phestilla minor フェスティラ ミノール」は、ニホンアワサンゴを食していた。冒頭に明鐘にはニホンアワサンゴがたくさん生息していると記したが、不思議なことに、どのニホンアワサンゴにもフェスティラ ミノールが寄生しているわけではなく、ごく一部のニホンアワサンゴに、たくさんのフェスティラ ミノールが群がるようにして食い散らかすのだ。したがって、その狙われたニホンアワサンゴの群落は。約2週間ほどで真っ白な骨格だけにされてしまう。
上の写真は、完全に食い尽くされたニホンアワサンゴの骨格の上を這うPhestilla minorである。
もともと、このPhestilla minor自体は珍しいウミウシで、明鐘でしょっちゅう見るような普通種ではない。
そのPhestilla minorがどうして、急にこのニホンアワサンゴに集まってきたのか不思議でならない。
想像だが、集まってきたのではなく、このニホンアワサンゴの群落の中で増殖したのではないのかということだ。
たくさんあるニホンアワサンゴのどれもが被害にあっているなら、Phestilla minorが急に増えたという解釈ができるが、その一箇所だけだということは、その場所に何らかの理由で幼生が流れ着き、そこで繁殖したのではないかと見るほうが自然ではないかと思う。
「INDO-PACIFIC NUDIBRANCHS AND SEA SLUGS (Terrence M. Gosliner, David W. Behrens, and Angel Valdes)」のP.371には、サンゴの骨格を食べ、白い半円の卵塊を形成すると書いてある。
なんとサンゴの骨格から吸収したカルシウムを使って卵の塊を作るというのか!?
なんと凄いウミウシである。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Phestilla minor
- 標準和名: フェスティラ ミノール
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この子はニホンアワサンゴを食べてたんですね。
共生関係というか、自然界のバランスは
人智の及ばないところにあるなぁと思います。
とたみんさん>
そうなんです。
食い尽くされて真っ白になってしまったニホンアワサンゴの残骸は注目です。
もしかすると、卵が産み付けられているかも。
う~~ん、眼が離せません。