魚類写真集
サケの遡上 宮城県 南三陸町 志津川 Oncorhynchus keta - 2009.11.30
宮城県南三陸町志津川。
牡蠣の養殖漁場が広がる、静かな湾となっています。
この志津川の湾意面したいくつかの河川には、シロザケ(サケ:Oncorhynchus keta)が遡上してくるのです。最近では、自然環境への配慮が整いつつあるのか、関東地方や東京湾でもサケの遡上が確認されるようになりましたが、この志津川では、毎年、コンスタントに多くのサケが遡上してくるそうです。
この、志津川の街中を流れる「折合川」で、許可を頂いて、シロザケの遡上を観察、撮影を行う事になりました。ご案内いただいたのは、水中写真とガイドダイビングでは定評のある、佐藤長明氏率いるダイビングサービス「グラントスカルピン」さんです。
写真で見た感じでは、とても緩やかな流れに見えます。
でも、水は結構冷たい・・・10度くらいでしょうか。
ZEROのRD2ドライスーツの下に、IW-3000インナーを着こんで水に入ります。
水の流れは、緩やかに見えてもそれでも体は流されてしまいます。したがって、タンクやフィンは使用しませんが、マスクとスノーケル、タップリのウェイトを装着しなければなりません。
岸から見渡せば、水深が浅いので、どの位置に産卵床があるかはひと目で分かります。
少しくぼんでいて、雄が陣取っている場所がそうです。
産卵床を作るのは、雄の仕事ですが、仕事熱心な雄であるほど、何度も川床に身体を打ち付けて産卵床を作るため、ぼろぼろの状態になっています。
ちなみに、この場所は、河口から僅か数百メートル上がった場所ですから、遡上するために身体が傷つくのではない事は明白です。いかに、産卵床を作るのが大変か・・・。
立派な雄が、雌を自分が作った産卵床に招きいれようとしています。
手前の鼻が曲がった(ハナマガリ)大きなサケが雄のサケです。体表に紫色をした婚姻色が浮き出ていますね。そのすぐ奥に寄り添うようにしているのが、雌のサケです。
雄のように鼻が曲がらず、スマートな顔立ちですね。
かなりの数のサケが遡上してきています。
カメラを構えて川にうつ伏せになっていると、平気でぶつかってきますし、足の下を大きなサケがくぐっていくなど、とてもスリリングな体験が出来ました。
今回は、残念ながら自分が撮影していた場所では、産卵の瞬間を見ることはできませんでした。
もっと下流域の方で、いくつかのカップルが産卵をしていたのを目撃されていました。
せっかくですので、Canon EOS 5D MarkIIで動画撮影をしてみましたのでご覧下さい。
シロザケの遡上(動画) Canon EOS 5D Mark IIで撮影
ハシナガウバウオ Diademichthys lineatus - 2009.11.29
秋の伊豆で見ることができるハシナガウバウオ (Diademichthys lineatus)。
模様から見て分かるように、ガンガゼなどのウニの周りで過ごしている魚です。
細くて、縞々で、隠れるとさぞかしガンガゼに溶け込んでしまって見つけにくいんだろうな・・・。
でも、実際には、写真のようにちょろちょろと泳ぎ回ってました。
しかも、縞模様とガンガゼのトゲの角度が並行ではないので、「目立つじゃん!」。
このハシナガウバウオですが、台風と共に南からやってくる季節来遊魚(死滅回遊魚)です。
残念ながら越冬できません・・・。
見てみたい方は、今すぐ大瀬崎にGo!
ガンガゼカクレエビ Tuleariocaris zanzibarica
同じガンガゼにへばりついていたのは、このガンガゼカクレエビです。
どこにいるか、わかりますか?
アップした写真をご覧になりたい方はこちら。
いつもアップで撮っているので、たまにはこうしてガンガゼを主に撮影してみたのですが、意外にガンガゼってサイバーだと思いませんか?
トゲが生えている根元の部分なんて、なんかSF映画のセットみたいだし、稲妻のように見えるブルーのラインは、とても神秘的。
面白いですよね。
ガンガゼの写真撮影に凝ってしまいそうです。
コガネキュウセンの幼魚 Halichoeres chrysus - 2009.11.28
大瀬崎湾内のトラギス Parapercis pulchella - 2009.11.27
大瀬崎ではトラギスをどこでも観察する事ができます。
あまりにも普通にいるので、ダイバーからは注目されない地味な存在なのですが、ちょこちょこ動かないので、水中撮影の練習にはうってつけなんですよね。
で、しかも、表情がかわいい。
クラカケトラギス(Parapercis sexfasciata)
まだ若い、クラカケトラギスです。
瞳がクリアで、透き通ってますでしょ?
トラギスの仲間の中でもとっても上品な顔立ち。
色もシックで、清楚ですよね。
トラギス(Parapercis pulchella)
トラギスといえば、このポーズです。
腹鰭をピンと立てて、砂地に直立。
愛嬌のある顔でこっちを見てます。
胸鰭を水平にしてバランスをとっている姿もカッコいいでしょ?
この姿勢をまねた、忍法「トラギス寄り」というテクニックをご紹介しましょう。
「トラギス寄り」とは?
この技は、Endlessblueが勝手に名づけたダイビングスタイルの事で、主に、砂地の海底でじっと中世浮力を保ちながら音も無く被写体に近づく技の事を指しています。
特に一般用語じゃありませんので・・・念のため。
「トラギス寄り」の基本スタイル
OpenWater講習で習った中世浮力の練習その物のスタイルです。
BC又はドライスーツに適度なエアーをいれ、呼吸した肺の浮力を使ってバランスをとります。
この時、砂地と接しているのは、フィンの先数ミリか、もしくはすれすれで接していない状態が最適です。
両手にカメラのグリップを握り、フィンを僅かに煽ります。
ほんの2~3cm、フィンを煽るだけで、ス~~~ッと前に進みます。
約10cmくらいずつ前進して、被写体に近づきます。
これが、「トラギス寄り」の奥義。
ちょうどフィンが砂地に接するかどうかの中世浮力の様子が、トラギスが腹鰭を使って砂地に立ち上がっているのに似ている(と、自分では勝手に思っている)ので、名づけました(汗;
「トラギス寄り」で撮影した写真
この奥義(笑)を用いて撮影した写真をいくつかご紹介しましょう。
こちらはトラギスの成魚。
婚姻色でしょうか?
真っ赤に色づいています。
ピッ!と切りあがった瞳が、歴戦の勇者を思わせます。
背景にいるのは、お友達のゴマウミヘビ(Apterichtus moseri)です。
ウミヘビといってもアナゴの仲間ですけどね。
味な顔をした伊豆の魚 カワユス系 キモス系 - 2009.11.27
変な顔っていったら失礼ですよ。
「味な」お顔をしたお魚をご紹介。
ダルマオコゼ(Erosa erosa)
ダルマオコゼって結構アグレッシブ!?
大瀬崎・湾内の真っ黒な砂地なのに真っ白な身体。
胸鰭を広げるとオレンジ色なんですよね。
意外に派手好き。。
ウツボ (Gymnothorax kidako)
この子は、たまに湾内で会う面白顔大賞!
どうしてアゴがかみ合わないの???
でも、ちょっと変ですね。
以前、出会ったアゴズレ・ウツボの写真と比べると、アゴのずれている向きが逆!?!?
違う子なのかな?
ダイナンウミヘビ (Ophisurus macrorhynchus)
この子も結構、いるんですが、結構、見逃しちゃうんですよね。
いっつも砂に隠れて口先だけ出してじっとしています。
ナイトダイビングで、たまに泳いでいる姿を見るのですが、「あ~ダイナン・・」って感じで、ありがたがられないかわいそうなヤツなんです。
漢字で書くと「大灘海蛇」と書くのだそうです。
大難と書くと、大きな災難のことを指すように思えるのですが、海の沖合いの事を意味するようです。
ヒラメ (Paralichthys olivaceus)
大きなヒラメを外海の門下(もんした)ポイントで発見しました。
この子は砂地の上ではなく、岩礁帯の岩の上に居座っておりました。
体長が60cmくらいの中サイズヒラメです。
きっと餌を探していたのでしょうかね。
それにしても、綺麗な目をしてますよね。
スナダコ (Octopus aegina)
ひょこひょこと、砂地を歩いていたスナダコ。
一生懸命、威嚇しているのでしょうか?
体表を一杯尖らせてます。
それとも恐がっているのかな?
カワハギ (Stephanolepis cirrhifer)
ナイトダイビングで出会ったカワハギです。
カワハギが寝ているところって可愛いですよね。
だって、口でちゃんとつかまって、流されないようにして寝てるんですよ。
可愛い!
ウミトサカにつかまって寝ているカワハギ・・・Lovelyです。
アカエソ (Synodus ulae)
爬虫類系の顔の代表格。
エソ。
その中でも、ひときわ色彩が派手目のアカエソです。
口の隙間から覗く歯がなんともグロテスク。
貪欲そうな顔してますよね。
事実、このエソが他の魚や甲殻類を捕食する時は、丸呑み!
凄い迫力ですよ。
写真に撮りたいなぁ。
