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2010年1月19日
ムナテンベラ Halichoeres melanochir
水温13度の伊豆大瀬崎。
死滅回遊魚と呼ばれる魚たちにとって、運命のその日がやってくる。
このムナテンベラは、大瀬崎では数年に一度、黒潮に乗って現れる季節来遊魚だそうだ。
この写真の固体は昨年の秋に台風によって南から運ばれてこの地にやってきたもの。
勢い良く泳ぎ回る元気はもう既になく、身体を丸めてしまい、胸鰭だけで一生懸命浮力を保とうとしている。
岩の隙間の奥深くに入り込んでしまっているので、撮影が難しかった。
ところが、フォーカスライトで照らしてあげると、なんとこっちに振り向くではないか。
なぜ身体が痛いのか、自分の身に起こっている現象すら理解できないであろう彼が、その意味を教えて欲しいかのように見つめる。
「もうすぐ楽になれるよ、君の命は永遠だよ・・・」と心でつぶやいても何も通じない。
そして、こうして彼の写真を見ながらブログを書いている。
何人かの人が、きっとこの記事を読んでくれるだろう。
そして、その時にはもう既に、彼はいないかもしれない。
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うつくしくも儚い命。。。死滅回遊魚っていう名前からしても悲しいですよね 岩の中に光を入れて この子が大瀬崎まで流れ着いて生きてきた証がここに残ったっていうだけでも 良かったと思います
Mamiさん>
自然の摂理とはいえ、眼の前で命の炎が消えかかっているのを見るのは悲しいですね。僕にはブログに記することしかできない。
次にポイントに行った時にもきっと探してしまうんだろうなぁ・・・。