2010年3月アーカイブ
2010年3月31日
チシオウミウシ Aldisa cooperi
地味なウミウシなのですが、どことなく愛嬌があって好きなウミウシです。
10mより浅い場所にいる事が多く、自然光で撮影するといい感じ。
この日は、光のまわりが良くなかったのでストロボを使用しました。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Aldisa cooperi
- 標準和名: チシオウミウシ
コガネミノウミウシ Flabellina sp.
素敵な色合いのコガネミノウミウシです。
コガネミノは、いつも岩礁に積もった堆積物に身体を埋めている事が多く、なかなかこうして、全体の写真が撮れません。
今回はラッキーでした。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Flabellina sp.
- 標準和名: コガネミノウミウ
サクラミノウミウシ Sakuraeolis sakuracea
関東地方では桜が今にも満開になる季節になりました。
サクラミノウミウシも絶好調。
大きく育って、人生最後の花を咲かせる季節を迎えます。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Sakuraeolis sakuracea
- 標準和名: サクラミノウミウシ
2010年3月30日
ゴシキミノウミウシ Cuthona diversicolor
ゴシキミノウミウシです。
後ろに、ワレカラかなぁ・・・ちゃっかり映っている子がいます。
撮影したときには気がつかなかったのですが・・・。
マクロ撮影って面白いですよね。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Cuthona diversicolor
- 標準和名: ゴシキミノウミウシ
シロホクヨウウミウシ Tritonia festiva (ブルーバージョン)
シロホクヨウウミウシのブルーバージョン。
これが見たかったんですよ・・・。
以前、明鐘で観察した真っ赤なシロホクヨウウミウシも美しかったのですが、このブルーバージョンもとても美しい。
真っ白な子も素敵ですけどね。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Tritonia festiva
- 標準和名: シロホクヨウウミウシ
2010年3月29日
トリトンのトランペット Triton's trumpet
ボウシュウボラ(Charonia lampas sauliae)の産卵風景です。
ボウシュウボラとは、法螺貝(ホラガイ)の一種で、ヒトデを主食とし、ウニやナマコなども食べる大型の貝です。
ヤツヒトデなどを食べることからサンゴの番人とも言われています。
食用になり、とても美味しいのだそうです。
法螺貝の英名は「Triton's trumpet」・・・トリトンのトランペットといいます。
ギリシャ神話に出てくる海神、ポセイドーンの子供であるトリトン(トリートーン)は、片手にトライデントを持ち、片手に法螺貝を持っています。法螺貝を吹いて波をたてたり、鎮めたりしたのだそうです。
私の祖父が隅田川に小さな和船を係留しており、良く幼少の頃は、吾妻橋から下って東京湾にハゼやメゴチ、イイダコを釣りに行っておりました。
隅田川の支流を渡りながら、荒川、江戸川、中川と徐々に千葉方面に出て行ったのですが、それぞれの河川をつなぐ水路には水門があって、その水門をくぐりながら行くのです。
その水門を通る時に、水門の上に信号機が付いているのですが、念のため、下を通る合図として法螺貝を「ボゥ~~~~」と吹いていたのを思いだしました。
小学生でしたから、肺活量も少なく、祖父のようにカッコよく鳴らせなかったのですが、あの独特の響きが今でも忘れられません。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Charonia lampas sauliae
- 標準和名: ボウシュウボラ
ネアカミノウミウシ Cratena sp.
せっかく明鐘初観測。
次にいつ見れるかわからないというのに、ご覧の通り、上手く撮影できませんでした。
クローズアップレンズの組み合わせがうまくいってない。
ぼけぼけ・・・。
あ~がっかり。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Cratena sp.
- 標準和名: ネアカミノウミウシ
シロホクヨウウミウシ Tritonia festiva
シロホクヨウウミウシが絶好調です。
前回、ここ東京湾・内房の明鐘岬で観察したシロホクヨウウミウシは、ウミイチゴを食べて真っ赤になった個体でした。
この子は、真っ白。
純粋無垢なシロホクヨウウミウシです。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Tritonia festiva
- 標準和名: シロホクヨウウミウシ
王者 『O-jya』 ダイビング用 KING OF BC
今回、ダイビング用のBCジャケットを新調した。
これまで使用してきたSCUBAPRO CLASSICに特に不満があったわけではないのだが、電車ダイバーである私は、少しでも軽く、水切れが良く、かさばらないBCがどこかにないかと探していたのであった。
以前よりお世話になっている、東京湾 内房 保田にあるダイビングサービス「パロパロアクアティック Paro Paro Aquatic」さんに相談してみると、「こだわりのBCがあるよ~」との魅力的なご返事。気がつけば、オーナーの魚地さんご自身も、常連のダイバーの方々もそのBCを使用しているという。
「知らなかったのは、僕だけ?」
そう、その噂のBCがこれ。
東京都南千住(なんと僕の自宅のすぐそばじゃん・・・またも浅草つながりか?)にある、「アトリエ藍」という工房で手作りで作られているBCである。
こういう話を聞くと、日本ってすごいなと思う。
ダイビングのスタビライジングジャケットなんて、ものすごくニッチな市場なのに、職人がいるんですから・・・。
「アトリエ藍」の社長さんが6年間、数万回にも及ぶフィールドテストを繰り返して、ついに完成させたこだわりのBCが王者「O-jya」だ。
王者『O-jya』とは?
王者には、その名の通り、「KING OF BC」という凄いキャッチコピーがつけられている!
「アトリエ藍」の王者 KING OF BC 『O-jya』とは、いったいどんなこだわりで作られているのか?
検証してみましょう。
インフレータホースがない!
なんとこのBCには、あの忌々しい、インフレータホースが無いのである。
凄くポイント高い見切りですよね。
大体、インフレータホースを使うのって、結局のところOPEN WATERの講習の時だけなんじゃないでしょうか。
潜行時や浮力調整時は、直接、排気バルブを開けるのが通例。
重たいカメラを右手に持ち、左手にはライトと指示棒を持っているのに、インフレータホースを持ち上げて潜行・・・なんてできるわけありません。
そう、いらないですね。
あの、ナショナルジオグラフィックの水中撮影スタッフが採用しているのもこれが理由でしょう。
王者『O-jya』の特徴 《肩周りの空気袋が無い》
上の写真を見てお分かりいただけると思うのですが、ハーネス型の仕組みを採用しているため、袖周りに空気袋がありません。
SPROユーザーの多くは、この袖周り(肩の部分)の空気袋がある事が選択理由となって選んでいる事が多い(=水面で安心感があるという錯覚)のですが、実際には無用の長物である事が、この王者 『O-jya』を着用してみると判明します。
特にカメラを構えて撮影するとき、胸元が邪魔になって手が回しにくいと感じた事は無いでしょうか?
あるいは、BCの脱着の時、腕が回らずに一人で背負えないと感じた事は無いでしょうか?
それから、ドライホースをつける時、胸元に色んなものがあって、邪魔くさく、なかなか繋げられないと感じた事は無いでしょうか?
王者 『O-jya』 ダイビング用BCでは、皆無!
胸元がすっきり、さっぱり、なんのストレスも感じません。
王者『O-jya』の特徴 《カマーベルトが無い》
BCの腰についているカマーベルト。これほど面倒なものはありません。
よいしょっと背負って、カマーベルトを閉めようと探すと・・あれ?ない?
背中とタンクの間に挟まっちゃって・・・ありゃりゃ・・・よいこらしょ・・・いてて・・・筋違えた・・・。
そんな経験ありませんか?
王者 『O-jya』では、カマーベルト無しでもぴったりとタンクが背中の中心に固定されるように設計されています。
なので、あの煩わしいカマーベルトがありません。
ただでさえウエイトベルトで絞めつけられているのに、カマーベルトでさらに苦しい思いになる事はもうありません。
王者『O-jya』の特徴 《簡素なポケット》
こう書くと、なんかほめ言葉じゃないような気になりますが、いえいえ、重要なことなんです。
BCにポケットが沢山あってうれしい・・・そう思っているのは、ビギナーの頃だけではないでしょうか?
従来のBCには、たくさんポケットが付いていましたが、何にも入らないんですよね・・・小さくて。
王者 『O-jya』のポケットは、でかいです。クリップで留めてあるだけなので脱着が自由自在。
本体とは別に作られているので、穴があいても交換が簡単。
構造が簡単なので、水切れも良く、すぐ乾く(一番うれしい)!
王者『O-jya』の特徴 《強靭で水切れがいい生地》
今回入手させていただいた、王者 『O-jya』のNEWモデルは、渋いオレンジの生地で作られていました。
この生地、グランドキャニオンのラフティングに使われるゴムボート用の生地です。
ウルトラ・スーパー・ヘビーデユーティなのである。
特筆すべきは、「水切れがいい」という事である。
水切れがいいと一言で書くと、ああ・・そう・・って思われるかもしれないが、その恩恵は計り知れない。
水切れがいい事のメリット
- 水切れがいい=表面に気泡がつかないので、潜行が超かんたん。ドライスーツ着用時、水面でジタバタするなんて事はこれでもう解消です。
- 水の抵抗が少ない=水中の移動が非常に楽なのである。速い!脚力がアップしたのではないかと勘違いするほど速い!(こんなにも違うのかと、ホントびっくりです)
- うねりや流れに対して抵抗が少ないため、身体のバランスを保ちやすい。
- 水中での方向転換が楽ちん!クルっと、向きを変えられます。
- 速攻で乾く!雨の日でも、表面の水分をふき取るだけでOK!!(これはいい!!!)
- 構造が簡単で、生地の内側に水分が残らないため、カビの発生が防止できる。
いかがです?
ちょいと、2本潜っただけで、以上6点のメリットを感じる事が出来ました。
凄いBCです。機動隊、海上保安庁、消防庁などプロ御用達なのもうなづけます。
毎週潜りに行かれるような方には絶対にお勧めです。
もし、王者にご興味を持たれた方がいらしたら、東京湾 内房 保田にあるダイビングサービス「パロパロアクアティック Paro Paro Aquatic」さんに相談してみてください。
2010年3月28日
海の白樺並木
『トロイカ』 ロシア民謡
雪の白樺並木
夕日が映える
走れトロイカほがらかに
鈴の音高く
走れトロイカほがらかに
鈴の音高く・・・
学生時代を思い出す歌詞です。
大学生のころ、東京都港区の東京タワーのすぐ下に「ボルガ」というロシア料理店がありました。
その「ボルガ」で、僕は学生時代にバンド演奏のアルバイトをしていました。
ロシアの民族楽器である、バラライカ(балалайка) という楽器を弾いていたのです。
海の中で見た突然の風景に、この「トロイカ」の歌詞を思い出し、撮影をしたのでした。
しかし、なぜ海の中に「白樺並木」?
しかも星降る夜の白樺の風景です。
何でしょう?
答えはこれ!
そう、イシコ(Cucumaria chronhjelmi)でした。
この日、明鐘の海に潜りましたら、水深15mほどの砂地一面が、このイシコで覆われていました。
数千・・・いや数万はいたのではいでしょうか?
どこまでいってもイシコの群れが途切れません。
こんなに大量発生するのですね。
凄い風景でした。
- 観察地: 明鐘
- 学名: Cucumaria chronhjelmi
- 標準和名: イシコ
SCUBAPRO Mark V Regulator "Spro MK5"
ダイバーなら誰でも、SCUBAPROのエンブレムに一度は憧れをもったのではないだろうか。僕が最初にOpen Waterのライセンスを取得し、器材一式を購入したのは1987年だった。今から20年以上も前のことだったが、レジャーダイビングの黄金期であり、ダイビング器材メーカーが最も多かった時代だったかと思う。当時購入した器材は、もちろんSCUBAPROだ。今でもCLASSICとして復刻版が出回っているが、当時新発売されたヒートシールド スタビライジングジャケット(Heat Sealed Stabilizing Jacket)。プロフェッショナルを意味したオレンジ色のジャケットを購入することは許されず、新しくラインナップされたスカイブルーのジャケットを購入した。
レギュレーターは、Mark10 1st stageにD300 2nd stageを装着したものだったと思う。当時の器材は、その後、妹に譲ってしまったので手元にはないが、伊豆海洋公園(IOP),富戸,大瀬崎,フィリピン,パラオ,チュークなど300本以上を共にし、何のトラブルもなく共に世界中の海を潜った愛機達であった。思い出せば、ダイビング用の器材だけではなく、小物やバッグ、衣類までを含めてすべてScubaproのブランド品で揃えていた記憶がある。それほどまでにあの、「S」のロゴマークがカッコよく思えたし、「PRO」の響きに憧れていたのかもしれない。
SPROのメンテナンス技術ならパロパロアクアティック
以前より、東京湾 内房 保田にあるダイビングサービス「パロパロアクアティック Paro Paro Aquatic」さんに、明鐘岬(みょうがねみさき)でのガイドダイビングでお世話になっているが、オーナーの魚地司郎さんが、古くからのダイバーであり、SCUBAPROの製品知識、メンテナンスに関しては、現在のディーラーの知識と同等、あるいはそれ以上であることを見聞きしていた。ショップのディスプレイには、1960年代からのSCUBAPROの往年の名器達が陳列され、そのほとんどがピカピカにレストアされたビンテージものか、あるいは一度も使用されていない新品のままの状態でオーナーとなるダイバーを待っているのであった。
オーナーの魚地さんは、私の生まれ故郷であり、今でも地元として愛している東京浅草にゆかりの深い方であり、彼の浅草時代の話を聞いていると、幼いころの「戦後の雰囲気が残った浅草」を思い出す。今はもうない、浅草新世界、松竹歌劇団、キャバレー「花電車」の話題で盛り上がったものだ。恐らく、私の祖先や親戚たちともなんらかの関係があったのではないかと思える。実際にはそうでなかったとしても、初めてお会いした時から、決して他人とは思えない「同じ匂い」のする方だ。
日頃、パロパロアクアティックさんに遊びに行くときは、明鐘岬のウミウシ達を観察する事が目的だ。東京湾の湾口部、浦賀水道の入口に位置する明鐘岬は、日本でも屈指のウミウシが多数観察できるポイントとして知られている。ところが、現地(千葉県安房郡鋸南町保田)のダイビングサービスは、パロパロアクアティックさんだけなのであるが、多くのウミウシファンのダイバーには、パロパロアクアティックの存在が知られていないということが分かってきた。
「なんということか・・・」
実際、調査してみた。インターネット上で「明鐘 ダイビング」と検索しても、パロパロさんのホームページは出てこない。Google AdWordsを用いて調べてみると、「明鐘」という地名そのものがキーワードとして認識されていない事が判明した。
ウミウシファンの中では有名な「ウミウシ図鑑.com」では、2010年3月現在、230種を超えるウミウシがこの明鐘で観察されていることが分かる。これは、日本全国では大瀬崎に次ぐ、2番目の数なのである。西伊豆大瀬崎は、日本で最も大きなダイビングスポットの一つであり、この海をガイドするインストラクター数は数百人を数えるであろう。しかし、明鐘岬の現地サービスは、先に記したように「パロパロアクアティック Paro Paro Aquatic」さんだけであり、魚地司郎さんただ一人なのである。その事を考慮すれば、「ウミウシ図鑑.com」での掲載数2位の実績が尋常ではない事がご理解いただけるだろう。
パロパロアクアティック Paro Paro Aquaticホームページ更改
さて、多くのファンダイバーが、インターネットから情報を仕入れ、次に潜りに行くポイントを算段する目安としている事は説明するまでもない。そこで、「パロパロアクアティック Paro Paro Aquatic」さんのホームページ大改造を提案させていただいた。そして新しいホームページが完成し、SEO(Search Engine Optimization)の効果が徐々に表れ、本日現在では、「パロパロ」の検索キーワードでGoogle8位、Yahoo7位。「paroparo」のキーワードでは、Google、Yahooとも堂々の1位になる事が出来た。今後、魚地さんご自身によるブログを記載していただくことでさらにヒット率は向上していくことだろう。この明鐘で潜るならパロパロさんを知って欲しいし、魚地さんのダイビングに対するこだわり、器材知識、器材メンテのノウハウをもっと多くの人に知っていただければと願うばかりである。
スキューバプロ マーク5 レギュレーター "Spro MK5"
今回のホームページ更改はあくまで、日ごろお世話になっているお礼にと無償で開発させていただいたのであるが、なんと魚地さんよりあの往年の銘器、「Spro マーク5」をプレゼントいただいた。このブログで書こうか悩んだが、とてもうれしかったので書かせていただくことにした。また、「パロパロアクアティック Paro Paro Aquatic」さんのSCUBAPROに対する情熱、製品知識、メンテナンスノウハウが、少しでもSPROファンの方々に知っていただければと思い、ご紹介させていただく。
これが往年の銘器「SCUBAPRO MARK5 Regulator 1st stage」と「SCUBAPRO Adjastable Downstream 2nd stage」である。バランスピストン型で初の回転式デザインのファーストステージである。1966年製の一世風靡したモデルで、なんと新品のまま、パロパロアクアティックさんに保管されていたもの。鉄製のボディにクロームメッキされた重厚な逸品。スクリューロックに刻まれた「SCUBAPRO」の文字がカッコイイ。
1969年製「SCUBAPRO Adjastable Downstream 2nd stage」である。呼吸抵抗を調整するための流量調節機構が装着されたモデルである。メタルで作られた調節ねじと、「S」のエンブレムが刻まれたインフレータボタンは、今やディーラーにもメンテ部品が残っていない貴重品。まさにお宝である。これからのダイビング人生は、この銘器とともに歩んでいこうと心に決めた。
えっ?使い勝手はどうかって?
そんなの、「抜群にいい!」に決まってるじゃないですか!
"Paro Paro Aquatic Diving Service" has all the product knowledge of SCUBAPRO and the knowhow of maintenance. Mr. Uochi who is the owner of "Paro Paro Aquatic Diving Service", his technology is wonderful that should be recognized worldwide.
2010年3月26日
Pholis crassispina タケギンポ
タケギンポの幼魚です。高く立ち上がった「アカモク」という海藻に絡みつくようにして捕食のチャンスを狙っています。
半透明の身体がとても美しく、ずっと見ていたいな~という気持ちにさせられます。
ちなみにこの「アカモク(Sargassum horneri)」という海藻ですが、ギバサ、ギンバソウ、神馬草、ナガモなどと呼ばれていて、湯通して刻むと粘り気が出て、酢味噌か酢醤油あるいはたまり醤油と七味唐辛子を微量加えてかき混ぜると、とても美味しいのだそうです。モズクやメカブみたいにポリフェノールやフコイダン、各種のミネラルを豊富に含んだ健康食だそうです。
海藻ふぇちなんですよね・・・私。
食べたいなぁ・・・。
食べてみた~い。
- 観察地: 志津川
- 学名: Pholis crassispina
- 標準和名: タケギンポ
Clidoderma asperrimum サメガレイ
サメガレイと思える幼魚。
約5cmくらいの大きさでした。
写真を見てもどこが身体で、どこが眼なのかよく判別できないほどのカモフラージュの名手。
たまたま、ぴょんと砂地を跳ねたので気がついて撮影しました。
幼魚の名前を同定するのって難しいのですが、詳しい幼魚図鑑ってないものでしょうか?
- 観察地: 志津川
- 学名: Clidoderma asperrimum
- 標準和名: サメガレイ
2010年3月25日
Lethotremus awae ダンゴウオ
もうあと1カ月もすれば、ダンゴウオの抱卵シーズン。
成魚となったダンゴウオが浅場に集まってきています。
これから恋人探しなのかな?
志津川では、4月下旬にはダンゴウオの抱卵が見れるそうです。
去年は逃しましたが、今年こそ激写するぞ~~!
- 観察地: 志津川
- 学名: Lethotremus awae
- 標準和名: ダンゴウオ
Pseudoblennius cottoides アサヒアナハゼ
強風が吹き荒れる志津川湾。
水温は6℃。
グラントスカルピンのなみさんが手招きするので、行ってみると、なんとこのシーン・・・
アサヒアナハゼの幼魚が、他の幼魚を丸飲みにしていた。
お腹のあたりを観察すると、飲み込まれた幼魚の眼球が透けて見えている。
す、すごい。
アナハゼの仲間は幼魚のころから貪欲ですね。
- 観察地: 志津川
- 学名: Pseudoblennius cottoides
- 標準和名: アサヒアナハゼ
2010年3月24日
Clocarides soyol ジュズヒゲアナエビ
普段は穴の中に潜りこんでいる珍しい種類のエビ。
髭が数珠のように連なっていることからついた名称なのだろうか。
岩の隙間に潜りこんだ彼を撮影していると、大きなアイナメがよってきた。
慌てて逃げ込もうとするジュズヒゲアナエビの驚いた様子が印象的だった。
- 観察地: 志津川
- 学名: Clocarides soyol ジュズヒゲアナエビ
- 標準和名: Clocarides soyol ジュズヒゲアナエビ
2010年3月23日
Alcichthys alcicornis ニジカジカの卵塊
北海道ではベロカジカと呼ばれて食用になるカジカの一種。
産卵シーズンになると深場から浅い海へと移動してきて岩礁帯に産卵する。
ニジカジカの産卵行動は、他の魚類には見られないとても変わった特徴を持っていると聞く。
それは、『体内配偶子会合』と呼ばれるもの。
なんと雌は、産卵を完了してから交尾をし、別の雄の精子を体内に取り込むのだそうだ。
その為、卵塊を保護する雄は、常に違う雄の卵を保護している状態になるという。
この性質は、カジカの仲間のいくつかと、アナハゼの仲間に見られる性質のようだ。
どうも棲んでいる環境に理由があるのかもしれない。
この卵塊は1mほどの大きな浮石の底面に産みつけられていたもの。
直径数十センチにわたる広い範囲に産みつけられていたのだが、恐らくは複数、あるいは100以上の雌が産みつけたものであろう。
卵塊を保護する雄は、雌がこの場所に産卵をする度に、交尾を繰り返し、この場所を守っているのだが、このおびただしい数の卵には、恐らく卵塊を守っている彼自身の子孫は含まれていないのである。
- 観察地: 志津川
- 学名: Alcichthys alcicornis
- 標準和名: ニジカジカの卵塊
2010年3月22日
Stichaeus grigorjewi ナガヅカ
前回、志津川で潜ったときに抱卵を確認していたのですが、なかなか顔を見せてくれず撮影できませんでした。今回は、ようやく顔を見せてくれました。ナガヅカという魚を見たのは、これが初めてです。食用になる魚らしく、すり身の原料としては「最高級」なのだそうです。背景に白い大きなボールのようなものが写ってますが、これがナガヅカの卵塊です。
卵塊の大きさは直径30cmちかくもあり、一匹の雌が産み落とす量としては、俄かに信じられないほどの量です。卵がバレーボールのように固まっているのですが、中もぎっしりと詰まっているのだそうです。ちなみにこの卵には、ジノグネリンという強い毒が含まれており、卵を食用とすることはできません。
写真のように卵を見守っているのは、雄なのか雌なのかはっきりしていないようです。というのも、この写真では卵塊が一つだけ写っていますが、前回みた巣穴には2つの卵塊がありました。
短期間の間にこれだけの量の卵を、同じ雌が産むとは考えにくいので、一匹の雄が複数の雌と交尾し、卵を産ませているのではないかと想像できます。
謎の多い、不思議な魚です。
- 観察地: 志津川
- 学名: Stichaeus grigorjewi
- 標準和名: ナガヅカ
2010年3月21日
Phoronis ijimai ヒメホウキムシ
世界中で10種類、日本では2種類のみ確認されているホウキムシの仲間です。一般に日本でホウキムシといわれるのは、Phoronis australisであって、ムラサキハナギンチャクの棲管に共生します。このヒメホウキムシ(Phoronis ijimai)は岩肌に生息していることを見つけることが多いようですが、この写真の群生は砂地の上でした。
- 観察地: 志津川
- 学名: Phoronis ijimai
- 標準和名: ヒメホウキムシ
2010年3月20日
Virgularia gustaviana ヤナギウミエラ
ウミエラの幼体だと思うのですが、まだ鰓っぽくないですねぇ・・・。
ウミエラってサンゴの仲間なんですが、移動できるんだそうですよ。
砂の上を歩いているところ・・・見てみたいですよねぇ。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Virgularia gustaviana
- 標準和名: ヤナギウミエラ
Scorpaenodes littoralis イソカサゴの幼魚
イソカサゴの幼魚。
春先の湾内にはフクロノリがたくさん生えています。
その海藻の森を探すといろいろな幼魚を見つけることができます。
こちらはカサゴの幼魚。
鰓蓋に黒い斑紋があるのでもしかしたらシマゾイかも?
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Scorpaenodes littoralis
- 標準和名: イソカサゴの幼魚
Thuridilla albopustulosa スイートジェリーミドリガイ
スィートジェリーミドリガイが産卵しているシーンです。
ゴクラクミドリガイ科のツリディラ属 (Thuridilla)に属するウミウシで、同じ仲間のヨゾラミドリガイ(Thuridilla vatae)にとても似ています。黒い斑紋がない物がスィートジェリーミドリガイと呼ばれています。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Thuridilla albopustulosa
- 標準和名: スイートジェリーミドリガイ
2010年3月19日
Elysia sp. アオボシミドリガイ
美しいブルーのドットを持つミドリガイ。
アオボシミドリガイです。
とてもきれいですね。
まるで蝶が羽を休めているようなしぐさがとても素敵です。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Elysia sp.
- 標準和名: アオボシミドリガイ
2010年3月18日
DIVEWAYS社の新型マスク AMA=EYE-EYE
今年、DIVEWAYS社から新しいマスクが発表された。
こだわりの逸品であるこのマスクを、一般ダイバーの中でいち早く試すことができたのでレポートする事にした。
このマスクを提供してくれたのは、ダイビング器材に関しては、私の知る限り天下一の知識とメンテナンス技術を保有している東京湾内房のダイビングサービス「パロパロアクアティック」オーナーの魚地司郎さんだ。魚地さん曰く「すごいマスクだ。これまでのマスクの概念を全く逸脱した概念で設計されている。あのGULLのマンティスを設計した方がDIVEWAYS社に移り、それまで長年温められてきた設計構想とこだわりをこの製品開発に惜しみなく注入したものだ。」すごいほめようである。なかなか製品をほめない魚地さんの言葉とは思えない。彼の厚意で一つ分けていただけることになったのだが、その時になって驚いたことがある。
なんと、このマスク、サイズ指定があるのだ。
考えてみれば、ダイビング器材のほとんどがS/M/Lなどのサイズが用意されているのに、マスクだけは、男性用/女性用にしかわかれておらず、顔の大きさによっては日本メーカーのマスクでは小さすぎたり、逆に海外製マスクでは水漏れがひどかったりしたものだ。どうして今までサイズ指定がなかったのか?理由は簡単、コストダウンの犠牲になっていたのである。
なんとこのマスクは、こめかみの幅×鼻下の長さ×スカートの最大幅で分けられたマトリックス中に、13種類ものサイズに分類されたラインナップが用意されているのだ。まさに日本人の骨格について研究を重ねた者だけが可能なこだわりの製品コンセプトに脱帽である。
それだけではない、このマスクには設計者のこだわりがふんだんに盛り込まれている。
DIVEWAYS AMAシリーズのこだわり
- 従来の設計には全く無かった顔の骨格を基準とし人間工学に基づいた設計
- 2眼タイプのマスクでは世界初のシングルリップスカート
- 全面が顔に密着する為、顔に優しくフィットしリップ跡がほとんど残らない
- マウスピースをくわえた時でも唇に負担を掛けず口や頬を動かした時によく起こる水漏れを防止
- こめかみや人中、ほうれい線の溝にも合わせたスカート形状
- スカートがシングルリップの為、マスクの内側は清潔に保たれカビの発生がない
- レンズ内面と眼球の表面までの距離が約15mmで最小の内容積・最大の視界を実現
- ストラップは世界初のステップ・レス式で微調整が可能
なんと蘊蓄の多いことか・・・器材フェチのEndlessblueとしてはうれしい限りである。しかし、驚きはそんなマニュアル通りの事では語りつくせないのであった。このマスクのすごさは、手にした瞬間に感じることができる。どういうことかというと、「重くない」のである。いや、正確に言うと「バランスがいい」のである。従来のマスクは、レンズ面とフレームが持ち重りする。たとえば、マスクを試着するときに、顔に密着させて鼻で息を吸い、吸着させて具合を見ることがある。その時、従来のマスクではレンズ面の重みで、今にも落ちそうになる・・・そんな感覚を感じたことはなかったであろうか。しかし、このDIVEWAYS社のAMAシリーズは、密着させた瞬間に前面の重みが感じられず、そのまま走っても落ちないのではなかろうかと思うほどの密着感があるのだ。こんなマスクは初めてだ。
後頭部を確実にホールドするという「ヘッドパッド」も新しい。ループになっていないので長い髪の毛がからみついて痛い思いをすることもこれでなくなることだろう。ヘッドパッドには線が入っており、頭のサイズに合わせて、カットすることができるのもおもしろい。こんなアイディアを盛り込んだマスクは到底なかろう。
視界も十分すぎるほどいい。マスクをつけた状態で胸元を見ることができる。これはいい。
ストラップの材質も、従来のようなペナペナなシリコンではない。分厚く、しかし柔軟でしなやかな素材で作られている。しかもあの忌々しい、ストラップのギザギザ(長さ調節するためのストッパー)がないのである。ミリ単位で長さ調整つができ、装着後の微調整など必要がないように作られている。そのため、ストラップの両端は、従来モデルでは装着したときに外側に垂れ、手で引っ張って調節できるように考えられていたのだが、このモデルでは、あえて、ストラップの両端が引っ張れないように内側に来るように設計されている。
「ストラップの調節はマスクの装着後に行うものではない」という設計者のこだわりなのだ。
製品を紹介するホームページには「すべてのダイバーにフィットするパーフェクトマスク」という強烈なコピーが記載されている。それほどの自信作なのである。この新しいマスクの登場で我々のダイビングが大きく変わる。そう感じさせるほどのいい出来なのである。
難を言えば、この製品の名前・・・何て読むのか?
分からん・・・。
誰か教えてください。
アナハゼの幼魚 Pseudoblennius percoides
おそらくアナハゼの幼魚ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
体長1cm強の小さな子。
湾内に繁殖中の海藻の上にちょこんと乗っていました。
かわいいですね。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Pseudoblennius percoides
- 標準和名: アナハゼ
Cerberilla sp. キホシミノウミウシ
前回、約1か月前に同じ場所で観察したときには一回り小さかった気がします。
キホシミノウミウシは、湾内の砂地にいることが多く、もし観察したい場合には、しらみつぶしに探索する根気が必要です。
でも、砂地の観察は実に面白く、何かいないかと下を向いて砂粒をにらんでいると、時間を忘れてしまいます。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Cerberilla sp.
- 標準和名: キホシミノウミウシ
2010年3月17日
Notarchus indicus フウセンウミウシ
夜の海に漂うフウセンウミウシ。
ほんとうに風船のようにふわふわと漂います。
しかもまんまるに丸まって。
よく見るとちっちゃな目があるんですよね。
可愛いですねぇ。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Notarchus indicus
- 標準和名: フウセンウミウシ
Okenia japonica シロイバラウミウシ
大瀬崎のシロイバラウミウシです。
いつも見ているサイズより少し大きめ。
Okenia japonicaという学名からわかるように、オケニアの仲間で日本が模式産地になっているウミウシです。
ラドマン先生の「Sea slug Forum」では、香港での観察報告もあるようです。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Okenia japonica
- 標準和名: シロイバラウミウシ
AEOLIDINA sp. ナマハゲミノウミウシ
先日アップしたAEOLIDINA sp. ナマハゲミノウミウシの別のカットです。
この向きもいいなあ・・・
ナマハゲかっこいい。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: AEOLIDINA sp.
- 標準和名: ナマハゲミノウミウシ
2010年3月16日
Eubranchus sp. ホシアカリミノウミウシ
体長が5mmほどのミニミニサイズのホシアカリミノウミウシです。
大瀬崎湾内でのダイビングで観察しました。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Eubranchus sp.
- 標準和名: ホシアカリミノウミウシ
スズキ(鱸) Lateolabrax japonicus
湾内でのナイトダイビングを楽しんでいた時のことだった。
ゴロタ下の砂地、水深8mに群れているクロサギの群れがライトに反射してギラギラと輝いていた。
鋭い稲光が光ったかのようにクロサギの群れが飛び散った。
「何!?」
何者かがクロサギの群れをめがけて襲いかかっている。
ライトが届かないのでよく見えないが、真っ黒な大きな影が群れに突き刺すように動いている。
黒い影から逃げ惑うクロサギがライトに照らされ、まるで砕けた鏡が水中に舞っているかのようにきらめいている。
正体はこの「スズキ」だった。
1mを超える大物のスズキだ。
ゴロタの壁を巧みに利用し、群れから離されたクロサギを壁際に追いやる。
すぐさま反転し、真上から襲いかかる。
群れから離された時とは、全く違う真上からの連続攻撃で、クロサギの方は対処不能。
身動きすらできず、硬直状態のまま、一瞬で飲み込まれていく。
何匹も何匹も・・・その様子は、第二次世界大戦の戦闘機戦で見られる「High-Yo-Yo」と呼ばれた戦法に似ている。
敵機を全速力で雲に向けて追い込み、そのまま加速度を利用して上昇、失速寸前に反転しながら落下加速度を伴って、敵機を真上から追撃するのだ。雲に面前をふさがれ、後ろから追われていた恐怖をぬぐえないまま逃げ道を失った状態で、真上からという意図しない方向から留めをさすのである。
見事としか言いようがない。
どうにかしてこの水中で繰り広げられたドッグファイトを撮影したかったのだが、残念ながら光が届いていなかった。
生死を分ける戦いは常に漆黒の暗闇で行われるのだ。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Lateolabrax japonicus
- 標準和名: スズキ
2010年3月15日
天下の奇祭「大瀬崎 大瀬神社 大瀬まつり」
今年も大瀬神社の大瀬まつりのシーズンがやってきました。
この大瀬まつりは、駿河湾一帯の漁民達がそれぞれに女装し、大漁旗で華やかに飾りつけられたた漁船に乗って大瀬崎ダイビングハウスマンボウ前の桟橋に集まり、「勇み踊り」と呼ばれる踊りと、海に向かって俵を投げ、それを飛び込んで拾いあげた者が大瀬神社に大漁祈願に向かうというものです。
毎年、4月4日に開催されることが決まっており、早朝7:30からスタートし午前中いっぱい続けられます。我々ダイバーたちも、毎週、大瀬崎の海にお世話になっている氏子ですので、是非、当日はお祭りの雰囲気を味わってはどうでしょうか。
※写真は先日、新艇進水のお祝いで大瀬神社に集まった漁船の様子です。
AEOLIDINA sp. ナマハゲミノウミウシ
大瀬崎外海にナマハゲミノウミウシのホワイトバージョンがいるというので、どうしても見てみたかったのでした。前回、ナマハゲを見たのは、昨年の7月で、やはり外海の非常に深い場所。セトリュウグウウミウシを探しているときに見つからず、代わりにこのナマハゲミノウミウシを見つけたのでした。
しかし、この日の大瀬崎は南西の突風が吹き、外海はクローズ・・・見た目は入れなくもないんじゃない?とか思いましたが、安全第一なので諦め、翌日に再チャレンジすることになりました。
潮が引いた外海は、ゴロタが露出し、エントリー/エクジットが大変・・・足を取られないように注意しながら、重たいカメラをかばうようにエントリーします。外海は湾内ほどひどくはないものの、やはり春濁りでどんよりと暗く、3mほどの視界を確保するのがやっとです。
沖のゴロタにこいつはいました。
なんと真っ白。大瀬崎で見るナマハゲは赤いボディのものがほとんどなのですが、この子は身体の中心はやはり真っ赤ですが、白が強くとてもかっこいい。ウミトサカの根元にくらいつき、ヒドロ虫を食べていたようです。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: AEOLIDINA sp.
- 標準和名: ナマハゲミノウミウシ
2010年3月14日
Halgerda okinawa インターネットウミウシ
いつか見てみたいと思っていた念願のウミウシのひとつ。大瀬崎の湾内で観察することができるとは思ってもいませんでした。この日の大瀬崎は、既に水温が15度を超え、春濁りの絶頂期になっていました。湾内の某所にインターネットウミウシがいるという情報を聞きつけ、いてもたってもいられず、真っ暗な濁りの中を潜っていきます。
水深21m。
この子が待っていてくれました。考えていたよりもはるかに大きく、体長は約8cm。以前、同じく大瀬崎の外海で偶然発見した「プレウロブランクス・マミラートゥス」のような突起を体表に持っています。
インターネットウミウシは、ヒオドシウミウシ属 ( Halgerda )に含まれており、この属に所属するウミウシのほとんどが伊豆では希少種とされています。しかも水深21mで観察されることなど、極めてまれで、通常は40m以上の流れのある岩礁帯で発見されることが多いと聞きます。春濁りとともに黒潮に乗ってやってきたのでしょうか?とてもラッキーな一日でした。
- 観察地: 大瀬崎
- 学名: Halgerda okinawa
- 標準和名: インターネットウミウシ
2010年3月11日
ミドリアマモウミウシ Placida sp.
志津川の冷たい海では大型のウミウシを見つけることが多いのだが、このミドリアマモウミウシは、1cmに満たない小さなサイズだった。
ミルの仲間などの海藻に付く代表的なウミウシの一つ。
ただ、ミドリアマモウミウシという標準和名はあるものの、実際には詳しい研究はこれからで、まだ良く分かっていない種族のひとつでもある。
- 観察地: 志津川
- 学名: Placida sp.
- 標準和名: ミドリアマモウミウシ
2010年3月10日
ベルッセラ・カリフォルニカ Berthella californica
とても珍しいウミウシを見せていただいた。
グラントスカルピンの佐藤長明さん曰く、「北米のカナダからアラスカ、アリューシャンにかけて生息するウミウシで、クチバシカジカと同じような生息域である。この事は、クチバシカジカやベルッセラ・カリフォルニカが、貿易船のバラスト水のような人為的な理由によって展開されたという事も考えられなくはないのだが、むしろ、太古の昔には三陸海岸と北米地域は陸続きであって、大陸移動説が示すプレートテクトニクス説の一つの証拠ではなかろうか・・・。」
なるほど、流石に海洋生物に関する数々の論文を執筆した経験を持つ方の意見は、説得力がある。
このベルッセラ・カリフォルニカ Berthella californicaというウミウシ。ウミウシ図鑑.comでは、志津川だけの発見にとどまっているのもその裏付けになっているのかもしれない。
体長が5cmから大きいものは10cmを超えるであろう大型のウミウシ。
ラドマン先生の「Sea Slug Forum」では、朝鮮半島、ブリティッシュコロンビア、ロシアからの報告もあるようだ。
プレートテクトニクス説に益々興味を持つようになった。
- 観察地: 志津川
- 学名: Berthella californica
- 標準和名: ベルッセラ・カリフォルニカ
カミクラゲと寄生生物 Spirocodon saltator
大津波が志津川を襲う前日、大量のカミクラゲとアミの大群が志津川湾に流入してきたという。
それがどういう意味をもたらすのか、いや、何も意味がない単なる偶然なのかは、誰にも分からない。
この日は、そんな話を思い出しながら、ごく少数、海中に漂っているカミクラゲを追っていた。
強いうねりと、巻きあがる砂で、思うようなカットが撮影できないまま時間が浪費されていく。
カミクラゲを見つけるだけでも大変なのに、きれいに触手を伸ばしている個体が見つからない。
カミクラゲ(髪水母)は日本の太平洋岸の湾内に生息している日本固有種のクラゲの一種だ。
ちょうど写真に白く写っている放射管がとてもきれいだ。
カミクラゲの名前は、多数の長い触手の棚引く様子が髪の毛を思わせることからこの名がついたという。
この触手の根元にある赤いものは、眼点と言われ、そこで光を感じ取ることができる。
カミクラゲを斜め下から見上げると、とても艶めかしく、美しい。
そんな事を思いながら、クラゲと一緒に流されながら写真を撮っていた。
いったい、これは何だろう。
カミクラゲの身体に付着する生物を見つけた。
寄生する生物なのだろうか。
足なのか、腕なのか不明な突起の先に鉤爪のようなものがあるのだろうか。
喰い込むわけでもなく、しかし、しっかりと張り付いている。
名前を調べたくてもその方法が分からない。
カミクラゲが日本固有のクラゲであることから考えても、それほど珍しい生物ではなかろう。
しかし、それにしても、奇妙な形をした生物だ。
宇宙貨物船ノストロモ号に潜入したエイリアンを思い出した。
「In Space, No One Can Hear You Scream.」
・・・宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない。
・・・海の中でもきっと聞こえないことだろう。
【後日調査】
Dhugal J Lindsay (極限環境生物圏研究センター海洋生態・環境研究プログラム海洋生態系変動研究グループ)の論文によると、「クラゲノミ」の一種ではないかと思えた。クラゲノミは、クラゲやサルパといったゼリー状のプランクトンに付着しながら生活するそうで、タルマワシなどもこのクラゲノミの仲間と考えられている。
クラゲノミは、寄生するクラゲから餌を分け与えてもらったり(というか勝手に横取りする)、胃の内容物を捕食したり、クラゲ自身を食べることもあるようだ。写真のクラゲノミは、恐らく「カボチャフクレノミ(仮称)Mimonectes sp.(undescribed)」ではないかと考えている。
- 観察地: 志津川
- 学名: Spirocodon saltator
- 標準和名: カミクラゲ
2010年3月 9日
ヒメフタスジカジカ Icelinus japonicus の卵
5年ほど前志津川の海は、磯焼けしたのだそうだ。
磯焼けというのは、海流の変化、水温変化、水質、食害、その他の原因が複雑に関連して、結果的に一帯の海藻が絶滅に近い打撃を受けることを指す。磯焼けになると周囲の生態系は大打撃を受け、ある特定の生物(例えばウニなど)だけが大量発生し、他の生物が全く住めなくなってしまう状況になる。志津川の場合は、何かの理由でウニが大量発生し、ウニがカジメやワカメなどの海藻の芽をすべて食いつくしてしまうことが磯焼けの直接的な原因を作っていたそうだ。
グラントスカルピンの佐藤長明氏によれば、毎日、ひたすらに海に行き、異常に大量発生したウニを駆除することで、磯焼けで死にかけた志津川の海を復活させたのだという。
写真はヒメフタスジカジカの卵である。通常は、フジツボの貝殻の中や岩礁の隙間などに産みつけられるのだが、この卵は都合よくも撮影しやすい平らな岩の陰に産みつけられていた。
ピンクやオレンジ、ブルーなど極彩色でありながら、なにか宝石を見ているような気高さを感じる。よく見ると既に稚魚の形が見えているものもある。この美しい色合いを見ると、芳醇という一言では語りつくせない、海の奥深さを感じさせる。
- 観察地: 志津川
- 学名: Icelinus japonicus
- 標準和名: ヒメフタスジカジカ
2010年3月 7日
Grant Sculpin クチバシカジカのハッチアウト
2010年2月28日。
南米チリの大地震によって発生した津波が日本沿岸を襲った。
ここ、宮城県南三陸町志津川では、1896年の明治三陸大津波、1933年の昭和三陸大津波、1960年のチリ地震津波により大きな被害を受けており、他の地域より津波に対する警戒心と恐怖心はひときわ強い。そのため志津川駅前には、1960年のチリ地震の時の津波がどの高さまで達したかを示すモニュメントが置かれているほどだ。また志津川の沿岸部には防波堤、防潮堤や水門等が設置されており、町ぐるみで津波に対しての防衛を行っている。この日、南三陸町のシンボルでもあるクチバシカジカのハッチアウト(孵化)を撮影しようと、腕に自信のある水中撮影マニアが前日の2月27日から志津川に集まっていた。27日は水中写真家の中村宏治さん、阿部秀樹さん、グラントスカルピン 佐藤長明さんによる、南三陸町水中写真コンテストの授賞式があったので、なおのことである。
僕の場合は、前回の志津川でのダイビングでクチバシカジカのオスが抱卵する姿をみて、是非、孵化する瞬間も見てみたいと思い、志津川への遠征を計画していたのだった。前回、この志津川でクチバシカジカを見たのは、2010年1月10日である。その時に撮影した写真がこれである。クチバシカジカは、雌が産卵した後、孵化するまでの約70日間、雄が抱卵し卵の安全を見守る。2009年の年末ごろから産卵が始まったので、ちょうどこの2月の最終週と3月の第一週が70日目にあたり、孵化のピークであろうと予測していたのである。
待ちに待った、その日に、大津波がやってきたのである。
大津波警報が発令され、港は封鎖。町民は一斉に避難をすることになった。もちろん我々も例外ではなく、クチバシカジカに会うこともかなわないまま、避難することになったのである。しかし、このまま諦めることもできず、牡蠣の養殖棚の被害がおさまらない一週間後の志津川に再びやってきたのであった。
3月6日(土曜日)。
数日前からの大雨で、志津川の湾内は真茶色に濁っていた。うねりもありそうだ。いやいや、先週は津波で一本も潜れなかったのだ。濁りやうねりなど問題ではない。とにかく、その瞬間を目にするためなら、7度を切る水温でも全く気にならない。グラントスカルピン主宰の佐藤長明さんが話しかけてきた。「先週の約束を今日は絶対果たしますよ・・・」。すごい。さすがである。心配を振り払うように笑いながら僕らはボートに乗り込んだ。
そして、ドラマは既に始まっていた。
何人ものダイバーが、寄り添ってこの瞬間を待っていた。
真っ白な乳白色の卵が、半透明に輝きだし、稚魚の目が見えると孵化寸前の状態になる。
稚魚たちは、身体をくねらせながら、薄い膜を破り、海中へと飛び出していく。
思ったよりも凄く早い。
ピントを合わせるのは至難の業である。
また一匹、飛び出してきた。
父親が胸鰭を使って水流を卵にかけると、その勢いに乗って飛び出してくる。
にゅ~~~・・・ピュ!
という感じだ。
思わず「すげ~!」と叫んでしまった。
11年間志津川に通って、ようやく見ることができたという方もいらしたが、それほどの貴重なシーン。
拍手喝采である。
この親子は、あの大津波にも負けず、この日を迎えたのである。
感動的な瞬間であった。
- 観察地: 志津川
- 学名: Rhamphocottus richardsonii
- 標準和名: クチバシカジカ
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