2009年12月アーカイブ
2009年12月31日
海の水中HD動画撮影
Canon EOS 5D Mark2 に SIGMA 8mm F3.5 EX DG CIRCULAR FISHEYEを装着し、HD動画像を撮影してみました。
ビデオライトを用いていないので少し暗くなってしまいますが、雰囲気はお分かりいただけると思います。
大瀬崎の先端ポイントでのダイビングの様子です。
You Tubeの配信サーバーの性能って凄いですね。重たいHDコンテンツ(パラメータ &fmt=22対応)も楽々配信してしまいます。
初めてのワイド写真撮影
Canon EOS 5D Mark2,SIGMA 8mm F3.5 EX DG CIRCULAR FISHEYE
恥ずかしいので公開しようかどうか迷ったのですが、一応、記念として・・・
初めて魚眼レンズを用いてワイド撮影をしてみました。これまでコンパクトデジタルカメラで、海の風景を撮影した事はあるのですが、デジタル一眼カメラにフィッシュアイレンズを用いて撮影したのはこれが初めてだったのです。
何を撮影しようか迷ったのですが、大瀬崎 外海の門下に入ったので、ウミトサカを撮影してみました。
反省点としては・・・
- ストロボ用のアームをもっと長く伸ばさないと全体的に光が周らない。
- 構図とストロボの光の当て方に工夫が必要。
- この写真の場合、角度を変えて後ろのウミウチワも入れたほうがよかったかも。
- あるいは、右上に太陽を入れるか、または、奥にダイバーを入れたほうが良かったかも。
難しいもんですね。でも折角、フルサイズのデジイチを使用しているので、ワイド撮影も頑張りたいなと考えています。この分だと、その内、2台持って海に入るようになってしまうかもしれません・・・。
2009年12月30日
メバルの求愛行動 Sebastes ventricosus
伊豆のダイビングでは普通に観察する事ができるメバル(眼張、鮴)。実は、2008年8月の日本魚類学会の機関誌で、これまで同じ種とされてきた「メバル」が、DNA解析によって3種に分類できることが発表されました。 メバルという名前の魚は正式には図鑑から消え、以下の3種類で分類されることになります。
メバルの種類
- クロメバル(Sebastes ventricosus)
- アカメバル(Sebastes inermis)
- シロメバル(Sebastes cheni)
我々が良く目にするのは、クロメバルという種類に当たるようで、アカメバルはさらに深い海域に生息する為に目にする事は稀だと思えます。但し、シロメバルはクロメバル同様に浅海の岩礁帯に生息する為、概観の色で見分けるのが非常に難しいかと思われます。アカメバルは体の色が赤っぽいのではっきりと他の2種と区別が付きますが、クロメバルは黒または青黒色、シロメバルは白っぽいものが多く腹びれが長いなどの特徴で判別するのですが、難しいですね。詳細には、胸びれを支える小骨のような「軟条」の数で判別し、「アカ」は15本、「クロ」は16本、「シロ」は17本と異なっているのだそうです。
冬の大瀬崎の湾内で良く目にするのが、クロメバル(Sebastes ventricosus)の求愛行動です。湾内のゴロタ場や漁礁付近にダイビングをした際には、是非、クロメバルのカップルを探してみて下さい。面白い行動を観察する事ができます。
雄のクロメバルが雌に近づいてディスプレイ
この写真の左側(白っぽく見える)が雄のクロメバルです。右側(赤っぽく見える)が雌のクロメバルです。
雄は、雌の鼻先に近づいてしきりに求愛行動を行います。この時、雄は自分の肛門部分を雌の鼻先にくっつけるような仕草をします。えええっ~~~!?て感じですが、これだけで驚いてはいけません。
雌の鼻先で放尿する雄
雄のクロメバルは、雌の鼻先に自分の尻をなすりつけ、さらに放尿する事が知られています。これが、彼ら特有のディスプレイ(動物が行う求愛行動)なのです。すごいですね・・・びっくり仰天。
この後、求愛行動に成功すると、カップルが誕生し、交尾を行います。この日は残念ながら交尾シーンは目撃できませんでした。メバルの仲間の交尾は、カサゴなどと同じように雄が雌に身体を巻きつけるようにして行い、雌の体内で受精が行われます。受精した卵は約一ヵ月後に雌の体内から稚魚としてハッチアウトします。驚いた事に雄は雌との交尾後、すぐに別のメスを探してその場を離れてしまうそうのだそうです。ディスプレイもびっくりですが、その後の行動もびっくりですね。
クロイトハゼ Valenciennea helsdingenii
大瀬崎の湾内。30mほどの円状のエリアに各種のハゼが群生する場所があります。このエリアでは、今年いろいろなハゼの姿を観察する事ができました。
2009年に大瀬崎湾内の砂地で観察したハゼ
・・・まだまだいますね。こうして思い出してみると、ハゼだけでもたくさんの種類が観察できるようで、普通種なので見逃してしまっているものや、気に留めずに撮影していないものもたくさんいます。今年、見ることができなかったキツネメネジリンボウやクロユリハゼの仲間、あるいは死滅回遊魚としての南方系のハゼなど・・・是非、来年は発見したいなと思っております。
2009年12月29日
白と黒
友人と水中写真家の巨匠であるDavid Doubilet (デビッド・デュビレ氏)について話し合っていた。デビッド・デュビレ氏の衝撃的な写真は、NATIONAL GEOGRAPHIC誌などで多く目にし、我々にたくさんの刺激と感動を与えてくれる。そのデビッド・デュビレ氏がウミウシを撮影した写真を見て、試しにやってみようと考え、そして実行してみた。色々な事が勉強になった実験だった。
2009年12月28日
キンギョハナダイ Pseudanthias squamipinnis
伊豆の海には普通にいるキンギョハナダイ。大瀬崎では群れて浅瀬を彩る素敵な魚です。この写真はキンギョハナダイの雌です。このうつむき加減な眼つきとブルーのアイライン。しなやかな流線型のボディ・・・魅せられてしまうんですよね。ハナダイの仲間に魅せられてしまうダイバーがたくさんいらっしゃいますが、理由が良く理解できます。
ファインダー越しに目が合うとドキッとするんですよね。
アヤトリカクレエビ Izucaris masudai
大瀬崎 門下ポイントで観察したアヤトリカクレエビ (Izucaris masudai)です。ナシジイソギンチャクに寄生しているエビですが、模様をご覧になってわかるように、とっても擬態が上手。ぱっと見では気がつきませんよね。
ナシジイソギンチャクが花開いていればよかったのですが、開くまで待っている時間はありませんでした。ナシジイソギンチャクもこうして見るととても綺麗ですね。
2009年12月26日
正体不明の海洋生物 大瀬崎 湾内
この生物は何?
大瀬崎・潮干帯でのナイトダイビングで発見しました。
体長は約2センチ。
ひらひらとした糸状の二次鰓のような物が付いているのですが・・・ナマコの仲間かなぁ??
この生物の名前をご存知の方がいらっしゃいましたらコメントお願いいたします。
2009年12月25日
大瀬崎の甲殻類
晩秋から初冬の大瀬崎では、甲殻類をたくさん観察する事ができます。
代表的な甲殻類のいくつかをご紹介しましょう。
ムチカラマツエビ Pontonides sp.
ビシャモンエビ Miropandalus hardingi
ゼブラガニ Zebrida adamsiip
トラフカラッパ Calappa lophos
このトラフカラッパは、巻貝をバリバリと爪で割って、あっという間に平らげていました。
凄い力・・・凄い食欲。
トラフカラッパの捕食シーン(動画)
トラフカラッパ・・・来年は寅年なので、急に注目されている?
2009年12月24日
アカオビハナダイ Pseudanthias rubrizonatus
大瀬崎 岬の先端ポイントで観察した「アカオビハナダイ(Pseudanthias rubrizonatus)」の雄です。
大抵は40m以上の深場に群れているようですが、この日は幸運な事に30m付近でこの一匹のみ、発見する事ができました。
雌は、ケラマハナダイやキンギョハナダイそっくりの地味な色合いで、尾びれの先だけが赤く染まっているのが特徴で、見分けるのが大変です。この日は、残念ながら雌は見つからず、雄だけを観察しました。
アカオビハナダイとキンギョハナダイのコラボ。キンギョハナダイが、雌のアカオビハナダイだったら良かったのにねぇ・・・。
良く見ると、キンギョハナダイの向こう側に、ハナオトメウミウシもコラボしてますね。
ドライスーツの修理・手入れ 「これで冬の海も快適」
ZERO RD2を購入して早くも1年が経過しました。
この1年間で潜った本数は・・・さてどれくらいでしょうか?250本程度でしょうか?
ZEROのRD2がいかに快適だったか・・・なんと今年ウェットスーツで潜った本数は、計6本。
その他は全てZEROのドライスーツで過ごしたのでした。
毎回お世話になるドライスーツのメンテナンスは以下のようにきっちり行ってきました。
ドライスーツのお手入れ手順
- 毎回エグジット後に裏返して汗を乾燥させる
- ダイビング後の浄水による洗浄(特に防水ジッパー部分、バルブ)
- 陰干し
- 帰宅後はハンガーにかけて涼しいところで保管
- 出発前には必ず防水ジッパーへのワックス掛け
- 防水ジッパーを傷つけないように運搬
それでも250本も潜ると、いろいろと綻びが出てきます。
今回、オーバーホールを兼ねて修理部品交換を実施いたしました。
メンテナンスを依頼したのは、ドライスーツを購入した「リトルリッツ」さん。
器材全般の知識が深く、やる気満々、サービス精神旺盛な富戸の注目ガイドさんが経営するショップです。
メンテナンス中の毎週のダイビングは、別に保有しているドライスーツを使用して凌ぐ予定でしたが、来年年明け早々に企画している東北の海には、どうしてもZERO RD2が必要でした。10度を切る低水温の海では、ドライスーツ自体の性能はもちろん重要ですが、中に着込むインナーの量で保温性能を確保しなければなりません。
多くのダイビングスーツメーカーが規格品として販売しているドライスーツは、スポーツタイプと呼ばれ、身体の寸法にピッタリサイズで作られています。その為、インナーに厚手の中綿タイプ・・・例えばIW-3000のようなものを着こんで保温する事ができないのです。
冬場の水温が12度~16度の伊豆の海でしたら、一般的なドライスーツ用インナーに、ユニクロのヒートテックを重ね着する事で、60分のダイビングに耐えることができます。しかし、できれば伊豆でもIW-3000を使用し、海から上がった後の吹きさらしの海岸でも快適に過ごせるようにしたいものです。
海から上がった後、なぜ寒くなるのか?
水中は10度以上あるのに、陸上は0度近い気温、しかも風が吹いていれば、スーツ表面の水滴が急激に蒸発し、気化熱と共に体感気温はグッと下がります。冬のダイビングが苦手とおっしゃる方のほとんどが、ドライスーツが苦手な方です。ウェットスーツで晩秋の伊豆の海に潜ると、水中は20度あるのに気温が5度しかないなんて日が良くあります。ウェットスーツにするのか、ドライスーツにすべきかを水温で判断してはいけません。裸でいても平気な気温・・・すなわち、気温が26度を下回ったら躊躇なくドライスーツを着用される事をオススメします。どんなに寒くないから平気だといっても、体温を維持する為にどんどんとカロリー消費が進み、2本~3本とダイビングをする内に、血中糖度が低下します。早い方でしたら2本目には寒さを感じ、体温維持が出来ない状態=低体温症(ハイポサーミア)を発症する危険性が高まります。ハイポサーミアによるトラブル発生は、良く晴れた真夏におきやすいという事を認識しましょう。
こうしたリスクから身体を守り、楽しく一年中ダイビングを続けるには、ドライスーツの着用が必須です。言い換えれば、一年中着ていても苦にならない上出来なドライスーツ選びが必須なのです。
海から上がった後、寒くならないコツ
- フードは顎まで隠れる完全なものを選びましょう
- グローブは、5mm厚の保温性が高いものが必要です(自分は夏でもこれです)
- エグジット後、フードやグローブは最後まで脱ぎません(毛細血管が集まる頭皮や指先から体温が奪われます)
- 器材洗浄はフード、グローブをつけたまま行います
- 最後に熱いシャワーを浴びて全身の塩分を落とした後、フード、グローブ、スーツを脱ぎます
- スーツを脱ぐ時は出来れば室内で脱げば完璧です
なんだ、こんな事か・・・数分だったら寒くても平気、と思われている方は特にご注意下さい。また、体脂肪率の高い方は、毛細血管からの体温の低下に気がつかないことが多く、数分程度なら風に吹かれても平気なつもりでいます。しかし、体脂肪率が高いという事は、日頃から代謝率が低いと言い換えることが出来、血中糖度の低下にも気がつかないことが多いのです。したがって、寒くなかったつもりが、急に振るえが止まらず、ハイポサーミアになってしまう可能性が高いと思えます。
ということで、年中、あったかインナーを着用したい私としては、どうしてもRD2を長い期間手放すのが嫌だったのでした。リトルリッツさんとZEROさんが迅速な対応をしていただき、通常メンテ作業プラス部品交換をたったの2週間で行ってくれました。感謝感激です!
水中撮影と寒冷地対策のドライスーツ改良
今回のメンテナンスでは、排気バルブ、吸気バルブの交換と、ネックシール、リストシールの交換を行いました。
ネックシールとリストシールはZEROが新しく開発したフレキシブルネックシールに交換しました。0度近くの気温では、ドライスーツの脱着時のスムースさがとても重要です。その理由は、前記したとおり、できるだけ外気温で身体を冷やさない為です。このフレキシブルネックシールは、通常のネックシールに対して特別柔軟性が高いZEROのネック素材をさらに、蛇腹加工し、柔軟性と伸縮性をアップさせたパーツです。首がきつくてドライスーツは苦手だとおっしゃる方は、このZEROのフレキシブルネックシールをお試し下さい。全く圧迫感を感じません。もちろん、柔軟性が高いということは、密着度が高いということですから、水が浸入してくる確率も大幅に低下していると思えます。
DIVEWAYS社製 クリップ式吸気バルブ
DIVEWAYS社は1974年から純国産のダイビング器材開発を続けてられる匠集団です。その匠の技が集結した360度回転クリップ式吸気バルブを今回装着しました。これまでは、同じDIVEWAYS社のプッシュタイプのものを使用しておりましたが、寒冷地での使用ではどちらもゆるぎない信頼感があるものの、いざトラブルが発生した時の回避策があるかどうかという点で、見直しを行いました。
つまり、寒冷地では、この吸気バルブが凍ってしまう可能性があるということです。外気温が0度以下の場合、ほぼ確実に凍結します。5度前後でも、風が強い場合には凍結する可能性があります。これらの凍結は、どんなバルブを使用しても回避できないことです。凍結したバルブでダイビングに挑んだ場合、運よく水温が高ければ自然に解凍します。しかし、5度以下の海の場合、解凍しない場合も考えられます。その時に吸気を行うと、バルブが戻らず、フリーフローしてしまう事が考えられます。実際に寒冷地でのダイビングでは良く耳にするトラブルです。その時、慌てずドライホースを抜く事ができればいいのですが、それもならなかった場合、クリップ式の場合、クリップを手で引き戻す事ができます。一つでも回避策が多いパーツの方がよかろうということで、今回部品交換を行いました。
DIVEWAYS社製オート排気バルブ
これまでは、常時ロック式の排気バルブを使用しておりました。マクロ撮影中心のダイビングでは、特に問題を感じなかったのですが、ワイド撮影や、中層を泳ぐ魚類の撮影の時には、浮上と共に膨張するエアーを抜かなければならず、その度ごとにカメラから手を離さなくてはならない煩わしさがありました。オートモードにしておく事によって、中層での撮影にも手間がかからないであろうという計算です。
「真冬の海に潜らないなんて、ダイビングの楽しさの80%を捨てているようなものだ・・・」どなたかのブログで読んだ一言ですが、全く同感です。これから春濁りの始まる4月までが、どのポイントでも透明度が良く、海洋生物も海藻類を中心に活発に活動を始めます。もっとも海が生き生きとしている時期なのです。是非、冬の海を恐がらず、一人でも多くの方々にその美しさを味わっていただきたいと思います。
2009年12月23日
大瀬神社 引手力命神社 スピリチュアル パワースポット
いつも不思議な魅力に引きつられ、ついつい通ってしまう「大瀬崎」。
Endlessblue的には、大瀬崎はスピリチュアルなパワースポットであり、大瀬崎の海でダイビングをする事は身を清める、洗心であり、潜心であることをご紹介してきました。冬の大瀬崎は、空気が引き締まり、朝夕の富士山の美しさや、駿河湾の激しさ、優々しさを感じさらにそのスピリチュアルなパワーを得る事ができそうです。
※洗心・・・心を洗い浄める精神修行の事。
※潜心・・・心を落ち着かせ集中して物事に取り組む事。
大瀬神社
大瀬崎の岬の先端には、大瀬神社があります。この神社には引手力命(ひきてちからのみこと)が祀られており、この神を祀る神社は日本全国広しといえどもこの神社だけなのだそうです。
岬の先端は、外洋の駿河湾の荒波、激流から大瀬崎の湾内を守る重要な地形を形作っています。さらに岬には、天然記念物となっているビャクシンの林があり、樹齢数百年の立派なビャクシンに囲まれた神社が大瀬神社です。
この大瀬神社は、岬の先端の中でも最も高い位置に祠が設置されており、駿河湾や富士山を一望する事ができます。
大瀬神社の祠前から見た駿河湾
大瀬神社から見た霊峰富士
大瀬神社の境内
大瀬崎の岬の裏側、「柵下」ポイントに向かう位置にある御手洗所です。時間があれば、大瀬神社の祠に向かって一礼し、このお水で浄よめて、ダイビングの安全を祈りましょう。
祠に向かう石段の下には天狗の下駄が奉納されています。この事から、富士山に深く関わりのある神様である事が分かりますね。
大瀬崎のミステリーを探る
なぜ大瀬崎に惹かれるのでしょうか?確かに風光明媚な場所ですし、東京からも近い。でも、関東地方にはもっと手軽に通えるダイビングスポットはたくさんあります。確かに、ダイビング目的で考えると、どんなに天候が荒れている状況でも潜る事が出来る湾内を持った大瀬崎は貴重な場所です。さらに岬の先端、外海というポイントを総合すれば、一般的なダイビングスポットの、実に3~5倍の広さとバリエーションを持っている魅力タップリな場所です。
でも理由はそれだけではなさそうです。私の場合、毎月1~2回は、この大瀬崎に通っておりますが、何か他の場所とは違うものを感じます。それが、この場所がきっと何かの意味を持ったパワースポットであるに違いないと、想定している唯一の理由です。
先に、引手命神社はこの大瀬神社だけであると述べました。しかし、調査してみると、非常に似た名前の神社がもうひとつ存在します。それが「引手力男神社(ひきてちからおじんじゃ)」です。静岡県伊東市十足という場所にあり、ちょうど大室山の麓に位置する場所です。この引手力男神社は、「たちからお」と呼ばれる山神を祀っていると伝えられ、大瀬神社が海神であることの好対照のように思われます。
なにか、この二つの神社には縁があるのではないかと思われます。古来の日本では、方位や地脈、川、海などの自然の地形から来るエネルギーを守る、あるいはお祭りする為に八百万の神々を祀ってきました。その事をヒントにして、それぞれの神社の位置を地図上に展開し、何らかの関係がないか考察してみました。(私もほんと物好きですね・・・)
上のマップは、引手力命神社(大瀬神社)と、大室山の引手力男神社の位置を正確にプロットし、位置関係を表現したものです。
面白い事に、引手力男神社と富士山頂上を直線で結ぶと、その線上にはなんと三嶋大社(みしまたいしゃ)があります。旧東海道の要所に位置する三嶋大社は、大山祇命(おおやまつみのみこと)をお祀りする神社であり、霊峰富士に関係の深い神社です。引手力男神社もこの霊峰富士に関係が深い神社と考える事ができそうです。
そもそも、引手力男神社の祀神である「たちからお」の名称からは、何か力持ちの男が縄を引いているような印象がイメージできますよね。こじ付けかもしれませんが、富士山に関係する縄(線)、そして強い力=地脈を想像させます。すなわち、この引手力男神社と富士山頂上を結ぶ直線、そして「たちからお」の神名が意味するものは、ズバリ「相模トラフ」の事なのではないかと想像します。
最近は、熱海を中心として発生している群発地震が話題になっていますが、これらは、相模湾の浅い海底で発生しているもので、まさに相模トラフの延長線上の断層で発生しているものと考えられます。太古の人々が、相模の神様が怒りを示すと地震が発生すると考えたのではないか?その地脈を預かる神様を、力強く地膜と言う縄を引き寄せる男にイメージし、「たちからお」と名づけたのではないかと考えました。
一方で、大瀬神社の「ひきてちからのみこと」ですが、この大瀬神社の位置と三嶋大社を結ぶ直線は、偶然にも駿河トラフと重なっている事が分かります。つまり、伊豆半島は駿河トラフの強い力と、相模トラフの強い力が交差する隙間に存在し、交差する点には「三嶋神社」が鎮座し、地脈の乱れを守っているという構図になっているのではないでしょうか。
伊豆半島にはたくさんの断層があります。この断層という存在は、地脈としてエネルギーが集中する場所として考えられます。動植物は敏感にその地脈のエネルギーを感じ、地脈が生物界の生息領域を分けることもあるほどです。今回お話している二つの神社、「大瀬神社(引手力命神社)」と「引手力男神社」を直線で結ぶと、ちょうど伊豆半島を南北に分断するような直線になります。この直線状には、伊豆半島の湯場として知られる修善寺があり、この直線の南北には多くの断層が確認できるものの、この直線上を跨ぐ大きな地層断層はありません。非常に安定した場所である事が分かります。
つまり、古代の人々は、本能的に駿河トラフや相模トラフの存在を、自然のエネルギーが直線状に走っていることを感じ取っており、そのエネルギーのラインを守り、司る二つの神として大瀬神社(引手力命神社)」と「引手力男神社」を祀ったのです。さらに、そのエネルギーのラインが交わる最も重要なポイントには、三嶋大社を設け地神の怒りを治めようとしたのではないでしょうか。
ちなみに・・・大瀬神社(引手力命神社)と三嶋大社を結ぶ直線をさらに北東に延ばしていくと・・・
そこには何があると思いますか?
なんと、江戸城。今の皇居を指し示しています。
さらに、私が大瀬崎の次に通っているダイビングポイント「千葉県明鐘岬」は、三嶋大社から真東の直線上に位置します。
偶然といえば偶然ですが、面白いですね。
ちなみに、大瀬神社(引手力命神社)」と「引手力男神社」を結ぶ直線(上のマップで赤線で示した北西に走る直線)の下には修善寺の嵐山、そして新富士駅そばの嵐山という二つの同じ名前の山があります。京都嵐山(らんざん)を思わせる地名ですね。何らかの関係があるのかもしれませんね。
私が大瀬崎や明鐘岬に毎週のように通うのには、何か訳があるのではないかといろいろと考えてみました。
単にダイビングスポットとしての素晴らしさだけではない、何か・・・
どことなく懐かしい感じがする何か・・・
その場所にたどり着いた時の居心地のよさ・・・
その海で潜った後のすがすがしさ・・・
きっと、こんな気持ちになるのは、ご説明したようなエネルギーのバランスが微妙に取れている場所だからなのかもしれません。
これからも、大瀬崎や明鐘で潜って、駿河トラフのパワーと相模トラフのパワーを分け与えてもらおうと思います。
大瀬崎 潮干帯ナイトダイビング
気温0度、風速10m。満点の星が美しい新月の夜。
いつも利用させていただいている「ダイビングハウスマンボウ」のゲストで、この日、ナイトダイビングをするのは私だけ。この日のナイトダイビングは、ちょっと変わったリクエストをしてみました。
『水深1m以内』の浅場を狙おう!
というリクエストです。
常々、気になっていた大瀬崎の超浅瀬。大潮の時には完全に水が引いてしまう潮干帯(Tide Zone)でのダイビングです。狙いはもちろんウミウシです。このリクエストに快く引き受けてくれたのが、ダイビングハウスマンボウのチーフガイドY君です。彼自身もプライベートでウミウシの観察をする時には超浅瀬を攻めているそうで、そのノウハウも見せていただこうと、急遽決定いたしました。
潮干帯でのダイビングの注意点
1m前後の超浅場でのダイビングは、波の影響をモロに受けるため、通常のダイビングと比べてリスクが大きいといえます。浅場だから安全というわけではなく、むしろ危険だと考えるべきです。いつ何時、高波が襲ってくるか分からないエリアです。しかもライトだけが頼りのナイトダイビングですから、より注意が必要です。
- ウェイトは、プラス2~4kg。アンクルウェイトも倍の量を装着する。
- かなりの量のウェイトになるので、コントロールできる技量が必要。
- ドライスーツにエアを入れないので、ピッタリサイズのドライスーツ着用が必須。
- ライトはもちろん、十分な光量のメインに加え予備を携帯する。
- 潮干帯周辺のゴロタ石周囲を観察する事になりますが、むやみに石をひっくり返すことは絶対に謹みましょう。
海の中で溶存酸素量が最も高い波打ち際は、生物も豊富ですが、海水に酸素を取り込むための重要な役割を持っています。岩肌に付着している海藻類や、沈殿物全てが微生物の生息領域になっており、海水を健全に保つ為の大切な役割を担っているのです。ですので、潮干帯でのダイビングはそういった知識やスキルを身につけたチームで行いましょう。
潮干帯はウミウシの宝庫
さて、大瀬崎湾内での超浅場「潮干帯ダイビング」のスタートです。うねりに翻弄させられながら岩場を観察すると、いるいる・・・ウミウシだらけです。この時期の大瀬崎はウミウシが少ないなんて言っていたのは誰だ!(・・・私ですね)
しかし、ウミウシがたくさん見つけられるのはいいのですが、ウネリが酷く撮影が思うようにできません。このあたりはテクニックを開発しなければなりませんね。今回は無理に身体を固定せず、ウネリに流されるままカメラの画角を維持する、Endlessblue流「ミノカサゴ撮り」のテクニックを使用しました。フォーカスを決めたら、ターゲットを見逃さないようにファインダーで追い、ウネリを使って、ジャスピン位置に戻る頃合いを見計らってシャッターを切る方法です。ちょうどミノカサゴが、眼下の獲物を狙う様をまねて「ミノカサゴ撮り」と名前をつけました;;;
欠点は・・・そう、煽って撮影する事はできません。
スプリラ・サラアミカ Spurilla salaamica
イロミノウミウシの仲間です。まだ和名はありません。
イロミノウミウシ Spurilla neapolitana
このイロミノウミウシの口元を見てみて下さい。
なんと、
ラーメンをすするように
ヒドラ虫を吸い込んでいます!!!
(別カットの拡大写真)
げげげげ~~~~っ!
こんな風に食べるの!?
良く見るとイソギンチャクの触腕を束ねて吸い込んでいるようにも見えますが・・・
いや~びっくり!!
初めて見ました!
アメフラシ Aplysia kurodai
キヌハダウミウシ属の一種 Gymnodoris sp.
ミヤコウミウシ Dendrodoris denisoni
マンリョウウミウシ Hoplodoris armata
サラサウミウシ Chromodoris tinctoria
セスジミノウミウシ Flabellina rubrolineata
ミチヨミノウミウシ Cuthona sibogae
アオウミウシ Hypselodoris festiva
いかがです?
皆さんもTide Zone Divingしてみませんか?
きっと新しい発見が待っていることでしょう。
明鐘でもやってみたいなぁ・・・。
2009年12月22日
サクラダイ Sacura margaritacea
大瀬崎の岬の先端では、長い間、日本の固有種とされていたサクラダイを観察する事ができます。サクラダイという名前が表すとおり、品のある赤地の身体に桜の花びらを散らしたかのような斑紋があり、いかにも日本的な情緒のある魚です。京友禅染の和服の柄を見ているかのような品の良さは、日本人のダイバーを虜にする強烈な魅力を持っています。
このサクラダイは、桜の斑紋が見えません。こうして群れをよく観察すると、それぞれの個体で個性があって、どれも同じではない事が、またさらに我々ダイバーの心をひきつけます。
これがサクラダイの雌です。キンギョハナダイに似ていますが、背びれに特徴的な黒い斑点があります。
雌の方が地味な色合いで、雄よりも大きさが二周り小さいのが特徴です。
サクラダイを観察するには、少し深度を深くとらなければなりません。この日は運よく31m付近でたくさんのサクラダイを観察する事ができました。ずっと見続けていたいのですが、あっという間に減圧限界がやってきます。サクラダイの観察には無理は禁物、安全第一でダイビングしましょう。
2009年12月20日
突風の西伊豆・大瀬崎
この日は日本全国を覆った寒波の影響で、西伊豆全体が風速10m以上の暴風に襲われました。当然、各地のダイビングスポットはクローズ。大瀬崎でも外海は激しい波のためクローズとなりました。しかし、大瀬崎には湾内という力強いポイントがあります。
外海が完全にクローズだった、この週末でも、岬の先端と湾内は、全く問題なくダイビングを楽しむ事が出来る状態でした。
さすが、大瀬崎。偏西風が強い冬日でも期待を裏切りません。
早朝の大瀬崎
早朝ダイビングを楽しむダイバー
ダイバーの様子をじっと見つめる猫
ダイビングハウスマンボウにお世話になっている、野良猫ちゃん。
毎日、餌をもらいにやってきます。
ドライスーツを干しておくと、その中に紛れ込んで寝てしまいます。
大瀬崎の夕陽
突風が吹き荒れる中、夕陽を眺めに外海に出てみました。
三脚など立てられないので、手持ちでの撮影。
空気が澄んでいるせいか、とても素晴らしい夕陽でした。
外海の大川下ポイントから、一本松方向へ向かって撮影しています。
海の荒れ狂う様子がお分かりいただけるかと思います。
夕陽の富士山
夕陽が富士山を照らしています。
この日は、片山右京さんパーティによる富士登山で遭難者発生のニュースが一日中報じられていました。
事故に遭われた方のご冥福をお祈り申し上げます。
2009年12月19日
東京湾のソフトコーラル Coral reef in Tokyo Bay
黒潮が流入しているので、水温が19度以上と、この時期にしては高水温。
ウミウシがなかなか見つからないので、ソフトコーラルを観察しました。
東京湾・明鐘岬(みょうがねみさき)のソフトコーラルです。
ジョウガシマチョウジガイ(Caryophyllia jogashimaensis)
ナシジイソギンチャク(Nemanthus sp.)
ナイトダイビングではきっと花咲いてくれるでしょう。
今は昼間なのでお休み中。
ニホンアワサンゴ (Alveopora japonica)
【使用器材】
2009年12月18日
ゴマフビロードウミウシ Jorunna parva
体長が8mm程度の小さなゴマフビロードウミウシ。
これから、2~4月のウミウシベストシーズンに向けて成長していくと思えます。
プチプチと黒い突起のようなものが見えますが、鬚ではなく(笑)、骨片束というものだそうです。この骨片束の表れ方はいろいろなパターンがあり、全身が真っ黒になってしまうような個体や、大き目の斑紋のようになるものなどがあります。
それぞれの斑紋の見え方で、Jorunna Sp.として分類されています。まあ、人間でも鬚の濃い人、薄い人・・・いろいろいますからね。
【使用撮影器材】
2009年12月17日
アオウミウシ Hypselodoris festiva
体長がまだ1cmに満たないアオウミウシの幼生です。
アオウミウシの分布はちょっと変わっていて、Sea Slug Forumに投稿されている分布を見ると、香港と日本、韓国の済州島に限定されているようです。
一方で、日本国内での分布はどうかと、ウミウシ図鑑.comで調べてみると、北は積丹半島、南は屋久島まで報告があるのに、沖縄諸島からの発見報告がないようです。
韓国済州島で発見されるのであれば、沖縄で見られてもおかしくはないと思うのですが・・・。
【使用撮影器材】
2009年12月16日
アズキウミウシ Elysia amakusana
千葉県保田の明鐘岬の湾内、水深6m。安全停止中に観察しました。
クロミドリガイでは?との意見もあったのですが、尻尾の先端がブルーに光っていましたので、アズキウミウシではないかと思います。この個体は、体長が10mm程度と、とても小さいくせに動き回るのがとても早く、撮影に手こずりました。
【使用撮影器材】
2009年12月15日
オトメガサガイ Scutus (Aviscutum) sinensis
真っ黒なヒラムシ?と思いきや触覚を出して動き出しました。
オトメガサガイというスカシガイの仲間だそうです。真っ黒な外套膜に覆われた姿が、黒マントを着た魔術師のような雰囲気です。
【使用撮影器材】
2009年12月14日
セスジミノウミウシ Flabellina rubrolineata
妖艶なパープルとピンクの衣装をまとった妖精。
じっと眺めていると、その妖艶な色彩としなやかな動きに見せられてしまいます。
ヒドロ虫を好んで捕食する為に、色彩は個体によって微妙に変化しますが、その艶やかな顆粒状のミノには、ヒドロ虫から抽出された毒素が蓄積されているといいます。
何がいいたいか?
"Every rose has its thorn. There's no rose without a thorn."
【使用撮影器材】
美しい東京湾の海を守りたい
2009年12月13日
Paro Paro Aquatic クリスマスパーティ
この日は、いつも東京湾・明鐘岬でのダイビングでお世話になっている、パロパロアクアティックさんのクリスマスパーティでした。「千葉の海」といえば、パロパロアクアティックと言われるほど、地元の海に精通しているオーナーの魚地司郎さん。ダイビングの腕前は、関東にその名を轟かせる名ガイド、名インストラクターです。例えば、某国営放送の水中撮影班の方々のトレーニングは、ほとんどパロパロアクアティックで行われているそうで、あの巨大な業務用ハイビジョンビデオカメラを持って砂尾巻き上げないように水中で保持する技術や、ライト担当の方に必要な技術、ケーブルを敷設する技術、いろいろなシーンで、パロパロアクアティックの魚地さんのテクニックが活きているとお聞きしました。
いつも明鐘岬には、ウミウシを探しに訪れているのですが、この日は、特別な日。普段よりも30分早めに支度をしてファンダイブをした後、明鐘の海中をクリーニング。参加者全員で空き缶や、捨てられた釣具、ビニール袋など大量のゴミを排除しました。
クリスマスパーティなのに、クリーニング?
と感じる方もいらっしゃいますが、実はパロパロアクアティックさんのクリスマスパーティは、この一年の間に、決められた本数以上を明鐘で潜った経験を持つ、いわゆる常連客のみ参加が許されている会なのです。ですから、普段楽しませてくれている明鐘の海を綺麗にしようと、一年の締めくくりとして大掃除をするのです。
名ガイドの魚地司郎さん、実は名料理人です。
このブログでも、ファンダイブをしたお客様にサービスで振舞われるランチサービスの素晴らしさを何度もご紹介してきました。魚介類が苦手な方には向かないかもしれませんが、地元の漁師から直接仕入れた魚介の新鮮さ、料理の素晴らしさは絶品と言えます。
そして今日のクリスマスパーティは、パロパロアクアティックさんの集大成。朝から仕込んだご馳走の数々を振舞っていただきました。
カジメの煮物
カジメを食べたのは実はこれが初めてでした。最初、ぱっと見、ひじきの煮物かと思ったのですが、ご覧のように昆布のような海藻です。これがカジメです。ひじきのような苦味がなくとても美味しい煮物になっていました。
地魚の刺身
地元でとれた新鮮なアジとブリです。ブリは大根おろしで食べます。養殖のブリを想像してはダメですよ。私は養殖のブリがとても苦手なのですが、天然の、しかも捕れたてのブリは臭みが全くなく、甘みがあってとても美味しいです。
アジの南蛮漬け
いいでしょう?アジの南蛮漬けです。大好物です。骨まで丸ごといけます。
栄螺の壺焼き ガーリックバター風味
蓋を取って写真を撮ればよかったですね;;
さざえのつぼ焼きなんですが、普通に醤油味ではつまらないということで、ガーリックバターで味をつけてあります。手が込んでますよね。
スルメイカの肝焼き
これには参りました。スルメイカをキモで和えて、コンロで焼きます。素晴らしい味!この時点で日本酒突入です。
アワビの刺身 肝醤油添え
でました!正真正銘、千葉の鮑です。この量を4人で食べます。しかも肝醤油で・・・。
ダルマイカの中華風
さっと湯通しした丸いかに胡麻油と豆板醤で味付けした中華風の一品。イカがプリプリでうまい!
ブリのしゃぶしゃぶ
とどめはブリのしゃぶしゃぶです。
もうお腹がいっぱいで、これ以上食べられないはずなのに、なぜか食べれてしまう。
この他にも、あさりご飯やデザート・・・
3日分の食事をしたような気がします。
その他、豪華商品が当たるビンゴゲーム。
私はびりっけつだったのですが、なんと、@diveのドライスーツインナーをいただきました!毎週潜るので、インナーは何枚あっても嬉しいです!
ダイビングの後、6時間以上にわたる大宴会でした。
いや~~、ほんと東京湾の海の幸に魚地さんのお人柄と料理の腕前、もてなしの心が一杯の素晴らしいパーティでした。来年も絶対参加しなくては!
また明鐘通いが続きそうです。
魚地司郎さん、パロパロアクアティックのスタッフの皆様、本当にありがとうございました。
また、お集まりになられた常連ダイバーの皆様、来年もよろしくお願いいたします。
2009年12月12日
マドレラ・フェルギノーサ Madrella ferruginosa
志津川でのダイビング。
ダンゴウオ、スナビクニン、クチバシカジカなどなど・・・志津川ならではの魚たちを撮影していると、グラントスカルピン主宰の佐藤長明氏が、私のところに泳いできて肩を叩きます。
オレンジ色のSCUBAPRO CLASSICの大きなポケットからスレートを取り出し、おもむろに・・・
「ウミウシ 好き?」
と書くんです。
長明さんが、私のブログを見たことがあるかどうかは聞いた事がありませんが、(というか、つたない写真ばかりなので恥ずかしいのですが・・・)、志津川のウミウシについての話を何度もしていますから、きっと彼は、記憶のどこかに、僕がウミウシ好きなのを覚えていてくれたのでしょう。
スレートを差し出す彼に、もちろん、大きくOKサインを出しました。
そして二人で、向かった岩礁帯のその場所には・・・
なんと・・・
マドレラ・フェルギノーサ Madrella ferruginosa
マドレラ・フェルギノーサ (Madrella ferruginosa)は、ショウジョウウミウシの仲間で、コケムシ類を食べて育つ中型のウミウシです。Terrence M. Gosliner先生の「1001 Nudibranchs: Catalogue of Indo/Pacific Sea Slugs 」の315ページにある同種の写真は、この個体とは全く似ても似つかない色をしています。これは、食べているコケムシ類の色素によって、体色が大きく変化する為と思われます。
それにしても、志津川でマドレラ・フェルギノーサ Madrella ferruginosaを観察するとは驚きました。この種のウミウシは、南アフリカ、インド、マダガスカル、ニューカレドニア、そして日本でも黒潮海域の暖かい海が生息域だと考えられています。
今日の志津川の水温は14度。
それでもこのマドレラ・フェルギノーサ Madrella ferruginosaは元気に歩き回っていましたよ。
びっくりです。
ショウジョウウミウシの仲間である事は間違いないと思うのですが、ひょっとするとMadrella ferruginosaではなくて、新しい種類なのかもしれませんね。
- 観察地: 志津川
- 学名: Madrella ferruginosa
- 標準和名: マドレラ・フェルギノーサ
キヌハダウミウシ属の仲間 Gymnodoris sp.
大瀬崎先端の水深10m付近のゴロタ場には、沢山のウミウシが隠れています。
ゴロタの石を少し眺めてみると、いろいろなウミウシが生息しているのを観察する事ができます。
この個体は、ダイビングハウスマンボウのガイド、YUJI君が見つけてくれたもの。
体長が8mm程度の小さいウミウシでしたので、同定が難しいのですが、中野里枝さんが書かれた「本州のウミウシ―北海道から奄美大島まで 」の116ページにある「キヌハダウミウシ属の仲間 Gymnodoris sp.」ではないかと考えました。
いかがでしょうか。
【使用撮影器材】
- Canon EOS 5D Mark2
- EF 100mm f/2.8L Macro IS USM
- SEA&SEA MDX- PRO 5D Mark II
ビシャモンエビ Miropandalus hardingi
大瀬崎の湾内で観察したビシャモンエビの雄です。
ご覧のとおり、ビシャモンエビは、ムチカラマツに寄生しているエビの仲間です。
体色が住処にしているムチカラマツにそっくり。
これなら容易に外敵から狙われることも少ないでしょう。
ビシャモンエビの雄は、雌に比べて身体がとても小さく、この個体も1cm程度の大きさしかありませんでした。ビシャモンエビは、住処にしているこのムチカラマツからは離れようとしません。とても不思議に思うのですが、どうやって雌にめぐりあうのでしょうか?ひも状に伸びたムチカラマツの2次元の世界で生きている彼らは、その線上に交接相手がいないと、どうやって相手を見つけるのか?どうやってその場所に移動するのか?
とても興味があります。
だって、人間が3次元の世界に住んでいて、空間を瞬間移動する事が出来ないように、彼らは2次元の世界に住んでいて、隣のムチカラマツの存在なんて知る由もないはず。まさに異次元ワープの世界なはずです。
【使用器材】
- Canon EOS 5D Mark2
- EF 100mm f/2.8L Macro IS USM
- SEA&SEA MDX- PRO 5D Mark II
2009年12月11日
Namada Namada Namada ナマダ様!
大瀬崎の先端ポイントでのダイビング。急進になっている岬の先端は、潮通しもよく、回遊魚や小魚が豊富な場所です。水深20m近辺には、これらの回遊魚や周囲を泳いでいるハナダイの仲間やスズメダイの仲間をじっと狙うハンターがいます。
ウツボ (Gymnothorax kidako )
久しぶりに綺麗な歯を持っているウツボと遭遇しました。湾内でよく見るウツボは、歯が抜けていたり、あごがずれてしまっていたりで、いかにも年老いてしまっているという雰囲気がありますが、このウツボはまだ若そうですね。
ウツボは何でも食べますが、特にタコが好きなんだそうですね。
タコ好き・・・僕も好きですけどね。
ちなみに、東京湾の釣り氏の間ではウツボを「ナマダ」と呼びます。
ウツボは磯釣りの外道として釣れてしまうのですが、釣り上げるとテグスを中心にグルグルねじれちゃって、釣りの仕掛けをだめにしちゃうんですよね。で、結局、テグスごと吊るされてしまって・・・
ナンマイダブ・・・。
この南無阿弥陀仏のナマリが「ナマダ」になったのではないか?と、自分では勝手に思い込んでおります。ちなみに、googleで「ナマダ」と検索すると・・・あれ~~~????
コスプレ アイドル namadaさんの写真がたくさん・・・
ナンマイダブ・・・
トラウツボ (Enchelycore pardalis)
こっちにも獰猛そうなのがいました。
トラウツボです。
来年は寅年なので、トラウツボが人気キャラクターになる・・・ってなことはないかな?
これらのウツボは、ウナギ目ウナギ亜目に属しているので、ウナギの仲間という事が出来ます。ウナギとは似ても似つかない姿形をしていますね。
2009年12月10日
ムラサキハナギンチャク Cerianthus filiformis
大瀬崎の湾内といえばムラサキハナギンチャク(Cerianthus filiformis)ですよね。
広い砂地に、ぽつん、ぽつんとムラサキハナギンチャクが生息しています。
このムラサキハナギンチャクには、普段はあまり生物がいないのですが、秋にはいろいろな魚の幼魚が隠れ家にしたり、カクレエビの仲間を見たりします。
しかし、ムラサキハナギンチャクの魅力は、なんといってもその妖艶な姿ではないでしょうか。
ゆらり、ゆらりと漂う姿はダイバーを虜にします。
光の差し加減なのでしょうか?同じムラサキハナギンチャクなのに、場所によって色合いが大きく異なります。ウンバチほどの強さはないけれど、このムラサキハナギンチャクもある程度、強い毒を持っています。不用意に近づくのはとても危険です。
そしてなぜか分かりませんが、このムラサキハナギンチャクの傍には、ミノカサゴがいることが多いのです。
英語名は、Luna Lionfish。
直訳すると、「月の獅子魚」。
かっこいいですねぇ。
もしかすると、イソギンチャクの毒で痺れて動けなくなった小魚を狙っているのでしょうかね。
月に代わっておしおきヨ。
【使用撮影器材】
- Canon EOS 5D Mark2
- EF 100mm f/2.8L Macro IS USM
- SEA&SEA MDX- PRO 5D Mark II
イロカエルアンコウ Antennarius pictus と カエルアンコウ
大瀬崎の湾内では数々のカエルアンコウの仲間を発見する事ができます。
この日も3個体を発見。写真におさめる事ができました。
イロカエルアンコウ Antennarius pictus
頭の上に綿毛のようなものが見えます。
これが「エスカ」と呼ばれるもので、チョウチンアンコウのそれと同じく、フラフラ、ヒラヒラとたなびかせて餌を引き寄せるといいます。昼間はじっとしている事が多いのですが、夜間は活発に歩き回り、捕食活動をしています。
ベニカエルアンコウ(Antennarius striatus )
こちらは、恐らくベニカエルアンコウではないかと。
大きくなるとグロテスクになりますよね。
それでも、ダイバーからは人気の的になっているのは、こうしてじっとして被写体になってくれるのと、そのひょうきんな顔つきに理由があるのでしょう。
夜にもう一度会いたいですね。
エスカを完全に出しているシーンを見てみたいです。
2009年12月 8日
ガンガゼ Diadema setosum
この記事の主役はガンガゼです。
最近、ガンガゼの魅力に妙にはまりつつあり、いつも写真撮影しながらワクワクしてます。
ダイバーの皆さんなら、良く知っている「ガンガゼ」。
そう、アドバンスド・オープンウォーターを受講する時に、ナイトダイビングをしますが、「中世浮力をきちんと制御できないとガンガゼに刺されますよ~~」と必ず注意されたはず。
ガンガゼは、漢字で書くと「岩隠子」と書きます。
30cm異常もある長い棘に覆われていて、しかもこの棘には毒があり、刺さると抜けないばかりか、とてももろい為、皮膚の中に棘を残したまま折れてしまうのです。なんて嫌なやつなんでしょう。
岩の隙間という隙間に隠れているのですが、決まって棘の先端だけが岩の隙間から顔をのぞかせています。海水浴客やダイバーにとってはとても危険な存在なのですが、考えてみると、この長い棘、もちろんガンガゼ自分自身を守る為にあるのですが、考え方によっては、別の意味もあるように思えます。例えば、岩の隙間にガンガゼがいることで、大きな魚や人間は、岩の隙間に近寄る事ができません。その為、岩礁帯は、小さな魚や幼魚たちにとっての格好の隠れ家になります。
もし、岩の隙間にガンガゼがいなかったら、その隙間から大きな肉食性の魚が入り込み、密室状態の岩礁帯の奥では大変な事になってしまうでしょう。
ガンガゼって偉いかも!
ところで、ガンガゼを真上から見ると、写真のように5つの星と丸い円が見えます。
真ん中のオレンジ色をした円は肛門です。
その周りに星をかたどったような5つの点。
五芒星(ごぼうせい:Pentagram)を思わせる星型は、幼魚たちを守る魔法陣の印なのでしょうか?
ちなみに五芒星=☆の各辺が交わる比率は、いわゆる黄金比率となっており、自然界の法則そのものを表しています。ガンガゼは地球の自然を守る使者なのかもしれませんよ。
2009年12月 7日
ゼブラガニ Zebrida adamsii
大瀬崎にイイジマフクロウニは沢山いるのですが、なぜか、このゼブラガニを発見する確率は、先端ポイントがダントツに多い気がします。厳密な統計を取ったわけではないので、単に気がするだけなのです。
イイジマフクロウニを観察する時は、その猛毒の棘に気をつけながらはげている部分を見つめたり、指示棒で裏返してみたりとするのですが、どうも、先端ポイントでイイジマフクロウニを探している時には、このゼブラガニが発見される事が多いような気がします。
ちなみに、いつの日か、コールマンズシュリンプ(Periclimenes colemani)が見つからないかと思ってはいるのですが、ゼブラガニしかみつかりません。
このゼブラガニは、イイジマフクロウニの棘を一本、一本、むしるように食べてしまう、寄生タイプの蟹です。ですから、このゼブラガニがいると、イイジマフクロウニに10円ハゲのような毟られた痕が残るので一目瞭然なのです。上の写真を良く見ると、ゼブラガニの上側が、芝刈りで刈り取られたようにはげてますでしょ?これが、ゼブラガニが貪り食べた痕なんです。
ムラサキゴカクガニ Echinoecus pentagonus
こちらは、イイジマフクロウニではなく、ムラサキウニについているムラサキゴカクガニ(Echinoecus pentagonus)らしい個体。
あまりに小さいので同定できないのですが、たぶんムラサキゴカクガニではないかと・・・。
ムラサキウニは寿司ネタの中でも特別高級。
こうして見ても、おいしそうには見えませんけどね。
2009年12月 6日
カナメイロウミウシ と ウミウシカクレエビ Hypselodoris kaname
晩秋の大瀬崎。
台風シーズンがようやく一段落した頃、南から運ばれてきたいろいろな生物達を観察することができます。
ウミウシカクレエビもそのひとつ。
晩秋の大瀬崎の人気者となります。
多い日には10個体以上確認される事もあるようで、大きめのウミウシやナマコを見つけたら、じっと観察してみましょう。きっとウミウシカクレエビを見つけることが出来ると思います。大瀬崎に多いケースは、大きいナマコの腹の辺りか、ニシキウミウシ、ミカドウミウシなどの大型のウミウシに乗っていることが多いそうです。この日は、ダイビングハウスマンボウのYUJI君が、なんとカナメイロウミウシに乗ったウミウシカクレエビがいるという貴重な情報をくれました。
カナメイロウミウシ と ウミウシカクレエビ
早速、YUJI君のガイドでポイントへ。
カナメイロウミウシといえば、大瀬崎に通われている方なら、だいたいどの辺りに行けば見れるか想像が付くかと思います。中層を泳ぎながら距離を稼ぎ、徐々に下降しながらポイントへ近づきます。この日は、朝からとても寒かったのと、午後から天候が崩れ、雨が降り出すという予報だったためか、ダイバーがとても少ない日でした。このポイントに入っているのも我々だけの様子です。
水深36m。水温19度。
水底は誰もいないためかとても澄み切っています。
いました、いました・・・カナメイロウミウシ(Hypselodoris kaname)。
しかもペアです。
そして、目的のウミウシカクレエビ(Periclimenes imperator)もちゃんとウミウシに乗ってます。
前回観察したウミウシカクレエビよりも一回り大き目のようです。
カナメイロウミウシの色合いと、ウミウシカクレエビの色合いがそっくりですよね。
とても綺麗です。
ニシキウミウシやミカドウミウシよりも、色合いや大きさがマッチしているのか、カナメイロウミウシと一緒にいると、とても絵になりますよね。
【使用器材】
- Canon EOS 5D Mark2
- EF 100mm f/2.8L Macro IS USM
- SEA&SEA MDX- PRO 5D Mark II
2009年12月 5日
Canon EOS 5D Mark2 水中HD動画撮影
2ヶ月ほど前に入手した新しいデジイチ。
これまで使用していたCanon EOS Kiss Xは現役引退いただき、Canon EOS 5D MarkⅡを導入しました。ウミウシや甲殻類など、マクロ系を撮影する事が多いので、APS-Cサイズのデジタルカメラを選択する手もあったのですが、ここは思い切ってフルサイズと考え、EOS 5D MarkⅡを選択しました。
先日、宮城県南三陸町の志津川にサケの遡上を観察しに行く機会があり、100mmマクロレンズでは物足りない・・・と考えて、広角レンズを購入。購入したのはシグマ 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYEです。使用しているハウジングはSEA&SEA のMDX- PRO 5D Mark IIです。
シグマの15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYEは、非常に使いやすく、AFも特段不満を感じさせません。モーターの動作音がCanonのUSM(Ultrasonic Motor)=超音波モーターに比べて大きいのが気になりますが、音に敏感な生物に近づいて撮影するわけではないので問題はなさそうです。
今回、特に試したかったのは、Canon EOS 5D Mark II と、シグマ 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYEを使用して、HD品質の動画像を撮影してみたかったのでした。ビデオライトの準備がなかったのですが、まずは、フル・オートでどのような映像が撮れるのか実験です。
HD Movie by Canon EOS 5D Mark II and SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE
シグマ 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYEの画角の広さと明るさが気に入りました。
ビデオライトを使用しなくてもここまで明るければ、十分いけそうですね。
この日は、雨が強く降るほどの天気でしたから、きっと快晴の日でしたらもっと明るく撮影できると思います。また、EOS 5D MarkⅡは、プログラムオートでISO感度を調整して動画像を撮影できるので、ナイトダイビングも面白そうです。
試してみたい事が沢山増えてしまいました。
忙しくなりそうですねぇ。
テングヨコエビの一種 Pleustidae gen sp.
マクロにはまってくると、必ず興味を持つのが、このヨコエビの一種。
テングヨコエビの一種 (Pleustidae gen sp.)
オレンジ色のボディにメタリックブルーのライン。
ビビッドな奴!
ちょうど後ろ側に、同じオレンジ色のケヤリが咲いて最高のシチュエーションです。
ここで、再度、グラントスカルピン佐藤長明氏の奥様=なみこさんの、またも、水中レクチャー&オリジナル手話がスタート。
ふわ~っ、ふわ~っのケヤリ合図。
(これは、先ほどのスナビクニンで覚えたのですぐに理解できた)
そして次の手話は、おなかが丸く出ている様子をレクチャーしています。
「・・・?」
分からん・・・。
ファインダーを覗いたら・・・なるほど!
良く見たら、おなかにもう一匹のヨコエビが・・・。
子供なんでしょうか?
それとも、もしかしたらペアなんじゃないでしょうか?
だって、模様もはっきりしているし、子供が一匹だけというのも不自然ですよね。
もしかしたら、交接中????
2009年12月 4日
ダンゴウオの海 宮城県 南三陸町 志津川 Lethotremus awae
ダンゴウオ Lethotremus awae
志津川といえば「ダンゴウオ」ですよね。
女性ダイバーに絶大な人気の可愛い魚です。
こんなニコニコ君でも、カサゴの仲間なんですよね。
寒くて唇が紫色になってしまったダンゴウオ・・・
冗談です(笑)
でも赤い不通のダンゴウオとは似ても似つかない顔立ちですよね。
これでも同じ種類だそうです。
以前は、別の種類ではないかと考えられていたのですが、生活環境によって色や体表の突起などが変化する事が確認され、同じ種類だと判明しました。
でも、ぜんぜん違いますよね。
仏が阿修羅になるというか・・・イジケ顔というか・・・
やっぱり、赤いダンゴウオが可愛いですね。
来年は是非、幼魚を撮影したいです。
スナビクニン(Liparis punctulatus)
ダンゴウオの番外編というか、決まって一緒に撮影する事になるスナビクニンです。
このスナビクニンもカサゴの仲間。
グラントスカルピンの実質リーダーというか、COO(最高執行責任者)というか、佐藤長明氏の奥様の凡子(なみこ)さんが、教えてくれたスナビクニンです。
彼女が、このスナビクニンをゆっくりと指さし、ふわ~っ、ふわ~っ!と、もう片方の手で頭の上でパーのまねをしています。
「・・・?」
パーになっちゃったのか(笑)と思ったのですが、そうではありません。
このスナビクニンの後ろに写っているケヤリが咲くから、それまで待てと教えてくれていたのでした。
僕は、スナビクニンがおかしくなっちゃって、変だから良く見てみろと・・・そう言っているのかと(ごめんなさい~NAMIさん~~~)
2009年12月 3日
クチバシカジカの抱卵 Grant Sculpin
宮城県南三陸町志津川の固有種。
日本ではこの場所でしか見ることができないクチバシカジカ (Rhamphocottus richardsonii, 英名:Grant Sculpin)です。
このクチバシカジカは、日本以外に北カリフォルニアに生息する事が、グラントスカルピン主宰の佐藤長明氏の調査によって確かめられているそうです。佐藤長明氏の話しによれば、カリフォルニアで発見されたのだから、もし今後、アリューシャン列島などで発見されれば、この種の分布が見えてくるのではないかということでした。
クチバシカジカの特徴としては、その顔つきが魚らしくなく、イノシシのような顔つきである事が上げられます。こんな顔をしている魚は他には見当たりません。
もうひとつ、面白いのは、鰭という鰭が退化していて水かきの役割を果たしていないのです。
足のように軟条(なんじょう)のみが発達して、水かき部分が退化しています。
したがってほとんど泳ぐ事ができず、常に岩場に張り付いた状態で過ごしています。
もし、クチバシカジカを中層に放り投げたとしたら、そのまま泳げずに落下してしまうのだそうです。
絶対に驚かさないように、注意して観察しなければですね!
クチバシカジカの抱卵
この個体は、お腹がパンパンに膨れていました。
きっと抱卵しているのでしょう。
クチバシカジカの卵から稚魚が孵化するまでには、7ヶ月というとても長い時間が必要だそうです。
もうそろそろ産卵の時期なのでしょうか。来春の5~6月にはかわいい稚魚たちを観察する事ができますね。
2009年12月 2日
アイナメとクジメの抱卵 「金太の大冒険」
アイナメの抱卵
宮城県南三陸町志津川で観察したアイナメ(Hexagrammos otakii )の抱卵シーンです。
アイナメの体色は生息地の環境によって大きく異なるのだそうです。
黄、赤褐色、紫褐色などの色合いになるそうですが、繁殖期のオスは黄金色に輝くことで知られています。写真をご覧頂けば一目瞭然。まさに黄金色ですよね。
ちなみに、東京湾では、この黄金色に染まった雄のアイナメのことを「金太(キンタ)」という愛称で呼んでいます。元々は漁師言葉ですが、釣り人の間でも、キンタの愛称で親しまれています。
もちろん、志津川は東京湾ではないのですが、僕は江戸っ子なので、金色のアイナメは、金太=キンタと呼んでいます。なのでこのブログでもキンタと呼ばせていただきます。
アイナメの産卵期は秋から冬がシーズンとなります。
雄のアイナメは、岩陰などに雌を誘い込み産卵させるのですが、なんとキンタたる雄のアイナメは、巣に次々と複数の雌を誘い込んで産卵させるのだそうです。
ですので、ひとつの産卵場には、産卵時期が数日ずつずれて産まれた卵が産み付けられており、いろいろな色合いを示す事になります。産みたての卵は、金色に輝いているのだそうですが、次第に緑褐色や赤紫色といった色合いに変化してくるのです。
産卵が終わった後も雄は卵のそばに残り、敵を追い払って卵塊を守ります。
体長が50cm近くもある大型のキンタの横には、大切に守られた卵が見えます。
さすが、キンタですね!
勇敢なお父さんの姿です。
我々ダイバーが近づいても怖気づく事などなく、逆に威嚇するほどの威厳を持っています。
近寄って卵塊を撮影してみました。
美しいですね・・・。
まるで宝石箱のようです。
拡大してみました。
もう、目がはっきりしてますでしょ?
中には、殻だけになっている卵もありますから、きっと孵化寸前なのかもしれません。
素晴らしいですね。
感動的です。
じっと見つめていたくなります。
クジメの抱卵
クジメ(Hexagrammos agrammus )もアイナメ属ですから、アイナメに凄く近い近縁種という事が出来ます。
クジメとアイナメの違いは、尾びれが三角形に角ばっていることで区別できるのだそうで、また、アイナメの側線は体側中央だけでなく背びれ、腹びれ、尻びれの根もとに計5本もあるのだそうですが、クジメの場合は体側の1本だけという違いがあるのだそうです。
ただ、生息域が圧倒的に違い、アイナメは親潮流域を中心とする寒冷地に多く、クジメは、黒潮流域の温暖地を生息域としています。
ですから、この南三陸町志津川のひとつのポイントで、両方の種類の抱卵を見ることができるというのは、とても貴重な事で、特にダイビングポイントとしては極めて珍しいと言えるのではないでしょうか。親潮と黒潮が交わる、志津川周辺海域の特異性を感じることが出来ました。
アイナメの雄の婚姻色が黄金色であるのに対して、こちらは、鮮やかな網目模様。
南方系の雰囲気が出てますね。
このクジメの卵塊は、きっと産まれて間もないものだと思います。
まだ卵黄の部分がはっきりと見えています。
ただし、既にブルーがかってますので、数日は経過しているのでしょうか?
クジメの卵塊も拡大してみました。
こちらは、同じ場所で、同じ雄が守っていた卵塊ですが、既に目が見えます。
きっと違う雌が早い時期に産んだ卵塊なのでしょう。
アイナメもクジメも、卵の様子や、親の習性がそっくりですね。
こんな素晴らしい自然観察が出来るなんて、南三陸町志津川の海がいかに芳醇な海であるか・・・。
素晴らしいですね。
2009年12月 1日
志津川ダイビング 美しい自然と美味しい地元料理
宮城県南三陸町志津川にダイビングに行きました。
今年、この場所に通ったのは4回目でしょうか?
あっという間にファンになってしまいました。
もちろん、ダイビングそのものも大変素晴らしく、志津川でしか見れない固有種の観察や、ダイビングサービス「グラントスカルピン」さんのきめ細かなサービスにいつも驚嘆するのですが、この志津川の魅力はなんといっても自然の美しさや、魚の美味しさではないでしょうか!?
そう書くと、まるで食べる目的で行っているように思えますが・・・それは違います。
「飲みに行く」のが正解(笑)。
酒の肴がとにかく豊富。美味しいのです!
志津川の朝
早朝の志津川湾に散歩に出た時に撮影した風景です。
朝日が海を染めながら昇ってきます。荘厳な気持ちになります。
沖合いは牡蠣の養殖漁場になっていて、ウネリもなく凪の状態に見えるのですが、海岸沿いはご覧の通り、結構うねりが出現します。海って不思議ですね。
志津川の漁港の様子
志津川の漁港の様子です。日の出と共に活動が始まります。
牡蠣の養殖(洗浄槽)
養殖した牡蠣は、出荷前にこうして洗浄槽に漬け込まれ、浄水を使ってクリーニングされます。この様に浄化する事で、生でも美味しく食べられる牡蠣に仕上がるのです。
牡蠣の炭火焼
グラントスカルピンさんに、「どうしても牡蠣が食べたいと!」無理をお願いしました。佐藤長明さんが快く引き受けてくださって、店先で炭火焼!
しかも、グラントスカルピンさんの店舗の目の前は、ご親戚の酒屋さん!
凄い立地条件です。これはもう飲むしかありませんね(笑)。
帰りの電車の時間までの小1時間を贅沢にも焼き牡蠣と冷酒で・・・
もう、説明の必要はありませんね。
プリンプリン。
海の香りとエキスが満載。
熱々を指先でつまんで口に放り込み、ゆっくりとエキスを舌で転がしながら味わいます。
口の中に残った旨みを味わいながら冷酒を流し込めば、もう、これは天国です。
グラントスカルピンの佐藤長明さん、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
番外編(前夜の酒盛り)
ちなみに前夜は、志津川きってのお鮨屋「弁慶」さんで大宴会。
これがお通しなんですよ!
信じられません・・・・
長薯の千切りにホタテとイクラが・・・
これだけで、2合飲めます(笑)
この刺し盛り、見て下さい!
特に一番手前のアワビの肝!!!
テンコ盛り!
ネットリと旨みが凝縮された肝・・・熱燗ですね。
握りも最高に美味しいです。
もう、志津川にきたくなり理由がお分かりいただけますでしょう?
へべれけになるまで、飲んで食べて・・・
明日もダイビングなのに・・・
いや~、もう止まりません(笑)
弁慶 (寿司 / 志津川)
★★★★☆ 4.0
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